新☆ХV機関!!!
□No.1†夢の世界の裏側†
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真っ暗な海の中のような空間を、ヒカルはひとり目を閉じて、流されるように漂う。
ーー離れるって
どういうことだろう。
前にもーー
こんな事があったような気がする。
漠然とした不安を胸に、少しずつ落ちていくヒカル。
下へ、下へと深く沈み、ついに底へ辿り着いたかと思うとーー。
『!!』
ハッとしてヒカルは目を覚ました。視界にどんよりとした暗い空模様が広がり、冷たいアスファルトの地面が体に伝わって起き上がった。
『ここはーー……』
気づくと、そこはネオンのあかりが灯る暗闇の街、キングダムハーツの存在しなかった世界だった。
『俺、マジできたのか……』
冷静に驚きながらもヒカルはゆっくりと立ち上がり、ビルに囲まれた大きな広場みたいな所を見回る。
『…この場所って、たしかダークシティだっけ。ロクサスとリクが戦ったんだよな』
ふと、歩みを止め、街の中心に一際大きなビルがそびえ立っているのを見上げた。
こんなに高いビルをロクサスは駆け上がって、リクは飛び降りたんだって思うとヒカルはすごいっと実感した。
それにしてもーー。
『まみはどこだ…?』
あの闇に飲まれて、どうやらこの世界に辿りついたようだけど。
ヒカルは再び周囲を見回す。
まみの姿はなく、人のいる気配は一切ない。
すると、ヒカルの不安な気持ちに反応してきたのか足元から黒い影ーーハートレスが現れた。
『こいつら!』
黒くて丸い身体に触角と黄色い丸い目を持つ…シャドウは次々と地面から湧き出し、ヒカルに襲いかかる。
『うわっとっ』
シャドウの鋭いツメの攻撃をうまくかわすと、ヒカルはまみを見つけようと走り出した。
『まみーーー!』
(武器ないけど、とにかく今は探さないと)
ヒカルはシャドウ達から逃げつつ、親友の名を大声で呼びかける。
どうかこの世界に無事にいてくれ。と、願いを込め思いながら。
が、ヒカルは知らない。
そのビルの屋上の物陰に、黒いコートを着た者がこちらを覗いてたことに……。
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