□RETURN
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笑う気力もすでになかった。

死ぬのか?
寒い。血が……止まらない。

頭に映るのは最後の最期までアイツ一人。

「早く帰ってきて下さい」
珍しく真剣な面もちでそう言う山崎の頭に俺は自分の手を乗せた。

「心配すんな、わかってる」

今朝の出来事。まだ手に山崎の温もりを感じることができそうだ…だけど。

悪ぃ山崎。
帰れねぇで……悪い。

叫んでいたのは本人だった。始めは信じられなかった。いるはずがない。俺自身、自分がどこにいるのか見当がつかないのにいるはずが…………「土方さんっ!!」

見慣れた隊服を着た青年が俺の横にしゃがみ込んでいる。

「山っ…崎?!……なんで…」

見えてるものがにわかには信じられずに俺は声を震わせた。

「監察をなめないで下さい」

山崎の声がニヤリと笑った。


次に目が覚めた時。
俺は布団の上に横になっていた。
障子越しに聞こえるいつもの騒音。いつもの喧騒。
「つれねえや土方さん。俺のことは無視ですかぃ?」


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