□花火
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恋人の首がいよいよ本格的にまずいというのに。
「近藤さん、俺一人にやらせてもらえるようしてくれやせんかぃ?一週間で必ず討ち取ってみせますぜ」
俺の突拍子もない申し出に近藤さんも驚いたようだった。相手はあの高杉だし、一人でなど危険すがると言われた。だけど俺も退く気はなかった。
「策はあるんでさぁ。一人が駄目なら土方さんについてきてもらえばいい。向こうも大勢いやすが高杉一人殺っちまえばたちまち体勢も崩れるってもんでしょう」
「高杉をどうやって一人にすんだ?」
「……‥そこは、任せてくだせぇ」
答えるのに間を置いたのはためらったからではない。
確認しただけだ。
本当にこれでいいのかを。
そして、俺は一週間という期限つきで任務をもらった。


アジトから程良く離れた場所で俺は土方さんの車を降りた。
「んじゃ、行ってきやすんで、土方さんはここで待っていてくだせぇ。何かあったら無線で知らせますぜぃ」
「あ…オイッ?!…」
ドアを開けて俺を追いかけようとする土方さんを車の中に押し戻しながら俺は言う。
「頼むから何も言わないで、ただ俺を、ここで待っていてくだせぇ」
土方さんは一瞬不審そうな顔をしたが、後はもう何も言わず黙って俺を見送ってくれた。



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