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□第69話
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Side.鳴海
『鳴海。
知らなくていい事もあるんだよ。
計画は俺がやるんだ、心配するな。』
そう言って笑った君。
僕は何故だか、少し薄ら寒く感じてしまった。
それでも僕は心配なんだ、消えてしまいそうな君が。
柚香先輩と同じようにすり抜けていってしまいそうで。
初めは柚香先輩の子供だからこんなに愛しいんだと思ってたのに。
闇の中に居ながらも強い光を放つ君は、何よりも綺麗で眩しかった。
優しくて、哀しい、先輩と同じ通り名を持つ君に。
何か運命めいたものを感じたんだ。
死神と呼ばれる君に。
この子守りたいと思った。
大切なんだ、君が。
柚香先輩よりも。
先生みたいに僕の手を取れって、言えたらいいのに。
僕の想いは封じ込めたまま。
あの時と同じように、苦しいだけの想い。
あの時、君を無理矢理でも捕まえていたら。
俺は後悔しなかっただろうか。
グラリと揺れた地面。
「最近多いね、地震。」
大型の台風が来たり。
なんだか計り知れない何かが起こる予兆のような…………。
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