頂き物小説
□美味しいお菓子と紅茶、そして花束を君に。
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「よ!悩める青少年」
「…………」
すんごい嫌な物を見る目で視線を寄越す棗を気にするわけでもなく隣に座る翼。
そしてベアから貰った、紅茶が入ったカップを一つ手渡す。
「相も変わらず素直じゃないね〜」
「うるせぇ、ってかハゲには関係ねぇだろ」
「いや、ハゲはマジないから。まぁ、そんな事より……関係が大いにあるんですよね」
「……?」
「あーやって怒った蜜柑を、誰が慰めていると思う?」
楽しそうに話す翼に若干苛つきながら先を促す棗。
「俺が優しく慰めてやっているの♪怒った顔も可愛いけど、やっぱ蜜柑は笑顔が似合うしな」
思いだし笑いしながら、優しい眼差しで遠くを見つめる翼。
棗は一瞬だけ見やり、立ち上がる。
「お?」
「惚気を聞かされるなんて……眠気も覚めちまったよ」
「ハハハ、まぁ“牽制”って理由もあるけど、な」
「フン、余裕ぶってるといつか足元掬われるぞ」
「いつでも相手してやるよ、負ける気はないけどな」
「………精々今を楽しんで下さい、安藤せ・ん・ぱ・い」
「!!?…言うじゃねーか」
ぢゃ、と片手を上げてヒラヒラと手を振り、去る棗を見ながら翼は内心穏やかではなかった。