□If〜君と過ごした日々〜after days
1ページ/4ページ











お前が


笑っているなら







あの日から、2年経った。



平坦な日常が何故かもどかしい。
流架と葵と親父と過ごす日々は穏やかだった。

喧騒に呑まれる教室。
アイツが居なくても、世界は動き続けている。
アイツが居なければ、世界は動きを止めていたかもしれないのに。


ただ、彼女の存在が日に日に薄れていく。







「な、棗くん!後で屋上に来てくれないかな?」

「…………ああ。」






中学は、面倒だった。
身長は高くなり顔も整っている。
だからか、女子からの視線が煩わしかった。


「棗、おはよう。
また呼び出されたの?」

「流架…………いい加減面倒くせえな。」

「俺たちの佐倉に対する想いは変わらないのにな。」


好きな人が居ると言っているにも関わらず、周りは棗達を放っておいてはくれない。
救世主の仲間ということは知られていないのに、だ。

棗達の年齢を考えて、子供たちの情報は隠されている。
穏やかな生活を送れているのもそのお陰だった。
チャイムが鳴り、授業が始まる。






鳥が学校に近づいた後、空高く羽ばたいていった。





俺は飛べないまま。








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ