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□If〜君と過ごした日々〜after days
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お前が
笑っているなら
あの日から、2年経った。
平坦な日常が何故かもどかしい。
流架と葵と親父と過ごす日々は穏やかだった。
喧騒に呑まれる教室。
アイツが居なくても、世界は動き続けている。
アイツが居なければ、世界は動きを止めていたかもしれないのに。
ただ、彼女の存在が日に日に薄れていく。
「な、棗くん!後で屋上に来てくれないかな?」
「…………ああ。」
中学は、面倒だった。
身長は高くなり顔も整っている。
だからか、女子からの視線が煩わしかった。
「棗、おはよう。
また呼び出されたの?」
「流架…………いい加減面倒くせえな。」
「俺たちの佐倉に対する想いは変わらないのにな。」
好きな人が居ると言っているにも関わらず、周りは棗達を放っておいてはくれない。
救世主の仲間ということは知られていないのに、だ。
棗達の年齢を考えて、子供たちの情報は隠されている。
穏やかな生活を送れているのもそのお陰だった。
チャイムが鳴り、授業が始まる。
鳥が学校に近づいた後、空高く羽ばたいていった。
俺は飛べないまま。
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