頂き物小説
□dropping flower and running water
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生まれた時から幸せだった。
右手には、お父さん。
左手には、お母さん。
そして、
記憶の中には一度も逢ったことのない、愛しい彼…。
彼のことを想うと心が良くも悪くも動いた。
愛しい、大好き、逢いたいよ。
胸に広がる彼への想いは、温かくて、甘くて、幸せ。
けれど一方で
どうしてこんなコトしたの?置いてかないでよ、あなたは勝手だよ。
心の中で泣き叫んで、罵って、怒鳴りつける、私。
彼を想う時はいつだって、幸せで、嬉しくて、寂しくて、切なくなる。
私は今年やっと20歳になる。
「…お父さん、お願いが…あるんや」
とても長かった。気持ちだけがいつも焦っていた。
「おまっ!どこでそんなこと聞いて…!?」
「お願い、どうしても…!」
逢いたいの、彼に。
ずっとこのときを待っていたの。これを叶えるためなら、何でもする。
こんな願いが叶わない世界なら、いらないって思うほど、小さな願い。
だから、叶えてください。
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