進撃の花嫁
□プロローグ
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…小さい頃のことは、よく覚えていない。
ただ、父上に拾われたことだけは、何年経っても忘れることはない。
…俺は…自分がどこにいるのか、どこに向かっているのかさえ、知らなかった。
ただ……人々が移住するのを見て、付いてきただけにすぎない。
人々が移住した先は…知らない場所で……ただ、どことなく知っている街並みで…俺は戸惑った。
いや…俺は知っていたのだ、あの街並みを…。
だから、あの人に…父上に会っても、名前が出てきたんだ…。
その当時、俺には羽が生えていたらしく、父上は俺を見つけて、こう呟いたらしい。
「これは…この子は……神の孕子か…?」
「…君、名前は?」
俺はすかさず、「シオリです、ピクシス司令」と答えた。
あの日からだ。
俺が、あの人の…ピクシス司令の娘になったのは…。