イッシュ・ラブコメ冒険記
□5話☆ヤグルマの森にて
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inシッポウシティ
『さて…シッポウシティといやぁアロマさんだな…。ノーマルかぁ…うちのメンバー…格闘タイプ居るには居るが…』
俺はそこで悩んでしまう。確かに、ゲームではパソコンに預けていた仲間ポケモンに、ナゲキがいた筈だ。
今はおそらく、このリュックの中だ。でも…。
『…リュックの中は人嫌いばっかだしなぁ…』
腰につけている6匹のレギュラーと、ポケットに忍ばせている、しらほし、ビビ、エース、ベポ。こいつらはまだ、人なつっこさがある。
しかし、リュックの中は人嫌いのポケモンでいっぱいだった。
『…背に腹は、ってやつかな。出ておいで、ゴクウ』
「ポンッ」と軽快な音とともにリュックから1つのボールが出てくる。そして既に、俺の横には立っている彼がいた。
種族はナゲキ。
名を、ゴクウ。
【…ナンダ】
『すまないな、休んでる時に。ちっとばかり手を貸してくれ』
【…】
ふと見ると、ゴクウは目をぱちくりさせている。
『どうした?』
【オマエ、オレノコトバガワカルノカ?】
『あー、そう言えば、言ってなかったな。悪い悪い。
無論、声も聞こえるし、お前らリュック組の奴らの意見も最もだ。
だがな…世の中にはいろんな人がいる。
…なぁ、ゴクウ?俺は、昔お前たちと一緒だった奴のように、お前たちにひどい仕打ちをしたか?』
【…イヤ】
『そうか…(笑)
そういう人間もいるってこと、忘れないでくれな?
さ、行こう(笑)』
手を差し出すと、ゴクウはまた目を見開き、それでもどこか嬉しそうに手をつないでくれた。
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