求めたものは
□4章
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ジョセフの操作により私達が乗ってきた飛行機は海上に不時着した
ヘリコプターや船で次々と救出されていく乗客たちをぼんやり眺めているうちに私達もボートに乗せられ香港へと辿り着いた
海を見るのも久しぶりだなと思った
ふと、飛行機から出る時まで私の目を塞いでいてくれた男に礼を言うのを忘れていたことを思い出し服の袖を引く
「ん…?どうした」
「あの、アヴドゥルさん」
ありがとうございました
少し気恥ずかしくなり言葉尻がしぼみ、俯いてしまった
表情は窺い知れなかったが彼は私の頭をぽんぽん、と撫でて気にすることはない、と軽く笑った
他の三人も微笑んでいたようだ
…空気が柔らかくなった気がした
ジョセフの勧める中華料理店に向かう途中も、はぐれないようにアヴドゥルの服の袖を掴んでいた
中華料理店ではアヴドゥルとジョセフの間の席に座った
…図らずも(精神)年齢の順に別れたことになった
これからの移動手段について話していると銀髪を柱のように立てた男性がメニューを読んで欲しいと話しかけてきた
代わりに注文してやろうと笑うジョセフに小籠包が食べたいです、と言うと私の頭を撫で、ついでに頼んでくれた
…結局意図して来たものは私の小籠包くらいのものだったのだが
「…中国の諺で『足が四本あるものは机と椅子以外食べられる』と言うし食べられることは食べられるんだろうけど…」
「チャレンジしてみるかい?」
若干苦笑交じりの花京院に問われるも首を振り、小籠包に口をつける
…美味しい
口を綻ばせていると正面に居る花京院から物欲しげな視線を感じたので
二段重ねになっていた蒸籠の上の段だけを取り下の段を回すと礼を言われた
口がいっぱいだったので礼を言うことはない、という意味を込めて軽く首を振る
銀髪の青年は箸で器用に星形の人参を摘み上げ意味深なことを口にする
その人参を左の首筋に貼り付けニヤリと笑った次の瞬間
私はジョセフの前の粥が急に泡だったのを見て自らの分身を皿とジョセフの間に割り込ませた
分身が現れたコンマ1秒後硬質化した表面に鋭い剣先が振り下ろされた
「新手のスタンド使いかッ!」
同じくアヴドゥルは自らの分身を呼び出し炎を放ったがその炎は剣先に絡め取られることとなる
その炎を倒れたテーブルに投げかけ、火時計を作った青年…ポルナレフは
その火時計が12を燃やすまでにアヴドゥルを殺すと言ってのけた
「うぬぼれが過ぎるのではないかね」
アヴドゥルはその言葉に火時計の下半分を燃やしてしまうことで答えた
「うぬぼれ?この剣さばきが…うぬぼれだというのかッ!」
ポルナレフがコインを投げ、剣を一閃させるとコインは一直線に貫かれしかもその間には炎が取り込まれていた
店員が騒ぎ出したことに一瞬意識を取られた隙にポルナレフは店の出入り口に立ち、こう言った
「おれのスタンド…《戦車》のカードの持つ暗示は"侵略と勝利"」
「そんなせまっ苦しいところで始末してやってもいいが」
「アヴドゥル おまえの炎の能力は広い場所のほうが真価を発揮するだろう?
そこをたたきつぶすのが俺のスタンドにふさわしい勝利…」
「全員おもてへ出ろ!順番に切り裂いてやる!」
………
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