岩鳶高校文芸部 文芸集No.1
□風邪っぴきはるちゃん
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「まだ寒いのに泳ぐからだよ?だから風邪なんて・・・」
春のプールで泳いだ俺は風邪をひいてしまい、それを心配した真琴にベットに寝かされていた。真琴がお母さんのように釘を刺す。
「うるさい」
ハァ。風邪ひいてるからか意識が朦朧とする。体が熱くて。それでも人肌を求めたくて心がもやもやした。
誰か。
誰か。
真琴・・・。
「真琴」
「へ?」
「・・・」
「呼んだ?」
「・・・呼んだ」
真琴がベットに寝ている俺に近づく。俺の顔をのぞく真琴の顔は心配そうでなんとなく申し訳ない気分になった。あぁ。なんで俺なんかのためにそんな心配してくれて・・。
「真琴、熱い」
「え、大丈夫?!熱上がったんじゃ・・」
真琴を力いっぱいぎゅうっと抱きしめる。今は離れたくない。今日だけは真琴のそばで居たい。それをお前は・・許してくれる・・・?
「ハル・・・?」
「今日だけ・・・今日だけだから」
「ハル、寝なきゃ治んない」
「・・・」
あぁ。許してくれないのか。真琴のばーか
真琴を放してから拗ねたように布団に包まる。真琴に背を向けて。
「ハル怒ったの・・・?」
「怒ってない。もう大丈夫だから」
あーあ。拗ねてるなんて恥ずかしい。
「ハル?ごめんって」
背中の温度が急に上がる。後ろをフっと振り向くとベッドに潜り込んできた真琴がいた。
「・・っ何して・・」
「風邪って汗かいたら治るっていうでしょ?だから温めてあげようと思って」
真琴にぎゅうっと抱きしめられる。ホントに温かい・・。
俺は完全に体を真琴のほうに向かせるとさっきとおなじように力強くぎゅうっと抱きしめた。
あぁ。温かいな。ずっと続けばいいのに。大好きな真琴に包まれて幸せな・・・・
・・・
・・
「・・・ハル、おやすみ」
end...