uta☆pri

□俺のだよッ!
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「しょおちゃぁん、ホントに似合いますねー」
「ちょっ、やめろよ」
………。
「あぁっ、ぬいじゃダメです〜、せっかく真斗くんが編んでくれたんですからぁ」
「だーかーらー、何で俺がかぶんなきゃいけないんだよ!」
「だって、しょおちゃんが一番似合うから」
……………。
「ってこら、那月!くっつきすぎだって!」
「しょおちゃんの被ってる姿、アップで撮りたいんですよぉ」
「暑苦しいって!」
…………………。
さっきから俺の目の前で、ずーっと翔が那月にいじり倒されてる。マサが那月に頼まれて編んだという、クマさん風のニットキャップを被せられ、同じくクマさん風の手袋をはめさせられ、携帯で写真を撮りまくられている。
「まったく、那月はいくつになったらそーゆーのやめんだよ?」
そう言う翔は嫌がってるようにも、楽しんでるようにも見える。
「ほーんと、ぼくのしょおちゃんは照れ屋さんですねっ」
那月が翔の頭をぐりぐりと撫でた。
俺は、思わず目線を逸らす。何だか…ふたりを見ていられない。黒い感情が自分の奥から湧き上がってきそうで、怖くて。

そのときだった。

「音也!」

那月に頭をぐりぐりされたまま、翔が叫んだ。
「…へっ?」
俺は驚いてヘンな声を上げてしまう。でも翔は、なぜか怒った顔で俺を見据えている。
そしてこう言った。
「俺は、誰のだ!」
「………」
その台詞に固まる俺。え、えぇっ!? い、今、何て?
翔はもう仁王立ちだ。両手を腰に当ててる。那月もさすがに不思議そうな顔で翔を見ていた。
「だーかーらー、俺は誰のもんだ、って聞いてんだよ!」
上目使いの翔。そ、そっか。わかった。すぅー、はぁー……………。

「俺のだよッ!」

やっと大声で答える。
その瞬間、翔がニカッ、と笑った。
あぁもう、男らしくて可愛くて。
大好きな、俺の翔。


→あとがきとおまけ。
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