艦これ二次創作小説〜海の底から〜

□崩壊の予兆
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「……」

 隙間から見る。
 目が悪くなければ、隙間からわかる人数は十五くらい。服装から判断するに、空母が二人、戦艦は一人、あとは駆逐艦とか軽巡だと思う。

 背中がくすぐったい。
 金剛さんが指でつついていた。

「何してるの! みんな待ってるんだヨ!」

「いや、でも」

 たまに、こう、覗きたくなるじゃん。

 と思ってる間に、襖が独りでにスパンと開いた。
 いや、開けられた。

「ははー」

 襖を開けたのは、髪型はポニーテール、上はセーラー服で下はハーフパンツという、明るそうな人だった。軽巡か駆逐艦かな。

「残る一人、北上さんですね?」

 有名人だった。
 そんなことないか。
 どうやら、この宴会場にいる艦娘は既にアタシを知っているらしい。同調後にいなかったとかでだろうなぁ。

「ども、恐縮です! 重巡の青葉です! 呉からの転属です!」

「あ、はぁ。新任の北上です」

 やかましそうだ。

「そちらは金剛さんですね?」

「Yes!」

「噂はかねがね、それはもうかねがね。青葉が転属前に何度かお聞きします! 初出撃でフラグシップル級を撃沈させただけじゃなく、その任務は無傷で完遂させたとか。そ
して仲間の駆逐艦にも傷は追わせなかったとか! 青葉はそんなこと出来ませんからねぇ……」

 やっぱりやかましかった。

「あのさぁ青葉さん」

「嫌だなぁ北上さん、青葉には敬語は不要ですよ〜」

「うん、わかった、わかったから、宴会場に入らせて」

「これはこれは恐縮です」

 絶対に違う。
 その態度からは「恐縮」は感じられない。

 ともあれ、宴会場に入ることは出来た。
 改めて見ると、青葉を含めてここにいる艦娘は十五人。アタシは除く。
 さっきのやりとりが原因なのか、全員の視線がアタシに集中していて、痛い。
 ここにいる艦娘はほぼ全員が初対面で、新任もそこそこらしい。

 一番無力なのはアタシだった。
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