銀魂 長編

□第壱話
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眠りから覚醒した瑠璃の目に映るのは、いつもの天井だった。


少しの間ぼーっとそれを眺め、ゆっくりと上体を起こす。寝乱れた着物を正し、夢の内容がはっきりしているうちに整理した。


感情がなかったころ、"人間"じゃなかったころの記憶だ。何故そんな夢を見たのかは分からない。


考えてみると、もう4年も前のことだ。しかし、懐かしさは感じない。


それはきっと、ここでの生活にまだ慣れていない証拠だろう。


副長に連れられ、ここにやって来てからもう4ヶ月。半年にも近い時間が経ったのに…


そう思いながら、瑠璃は布団から出て、箪笥に膝立ちで近づいた。


時刻は午前5時。空はまだ薄暗く、太陽はあまり出ていない。早朝の屯所は静かだ。


真選組の一日が始まるまでまだ時間があるので、好んで無駄な早起きをする者はいないのである。


しかし、瑠璃が早起きをするのには理由があった。


剣道着に着替えた瑠璃は竹刀を取り、こっそりと庭に出た。


辺りに障害物がないのを確認してから、竹刀を上段に構える。そのまま下に振り下ろし、上げては下ろしを繰り返す。


心のなかでカウントし、ただひたすら竹刀を振った。


この朝稽古は土方と初めて出会ったあの日から始めたものだ。始めてから、早いもので4年の月日が流れていた。


毎朝100回ずつ素振りをして、終われば型の復習。そしてそれすらも終われば、イメージトレーニングで実戦に使えそうな動きを磨く。


4年間、ずっと続けてきていることだ。


この朝稽古が終われば、今度は昼過ぎに隊士全員で行われる全体稽古が待っている。そちらも、今のところは皆勤だ。


筋肉痛が酷い時もあった、挫けそうな時もあった。しかし、それでも続けてこられたのは1つの願いを叶えるためだった。


強くなりたい。


ただ、そのために今日も竹刀を振り続ける。
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