REBORN! 長編

□第2話
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騒動が起きたのは、4時限目の数学の授業は新しい範囲に進み、何の問題もなく終わりのチャイムが鳴って昼食の時間になったときだ。


この日は風が強く、二人で相談した結果、今日は屋上ではなく教室で食べようということになった。


ルリはトイレに行ってくると言ったので、京子はルリに着いていった。


トイレは教室のすぐ近く。授業終わりのこの時間なんかは、クラスメイトでぎゅうぎゅうになることが常だ。


「私、外で待ってるね」


ただ着いてきただけの女子生徒は、だいたい外で待つ。ルリもそれは分かっており、こくりと頷いてドアの向こうに消えた。


今日の弁当のおかずは何だったかを思い出しながら、京子はのんびりとルリを待つ。


すると、そこへ珍しく一人で行動しているミサがやって来た。彼女は京子に気がつくと、気さくな笑顔で片手をあげる。


「どしたの、京子ちゃん?」



いつも3〜4人ほどの人数で移動している彼女が、何故一人なのか。そのことを不思議に思いながらも、京子は笑顔で答える。


「ルリちゃんを待ってるの。ミサちゃん、他の子は?」


「トイレに付き合わせるのもなんだかなーって思って、先に食べてもらってる」


入り口の近くに立っていたので、京子は二歩隣にずれた。ミサにさりげなく道を譲ったのだが、ミサは入ろうとしなかった。


「前から京子ちゃんともっと話したいな〜って思ってたんだよねー。……あ、そうだ、ちょっと来てもらえる?」


京子は一瞬ドアの方を見た。ルリはまだ帰ってきていなくて、閉ざされた扉の向こうに人影すら映らない。


「私も話してみたい!じゃあ、お弁当一緒に食べる?ルリちゃんもたぶんいいって言ってくれると思うし」


ミサは手を横にひらひら振り、違う違うと苦笑いを浮かべた。ドアの向こうに人影がないことを確認し、彼女は強引に京子の手を掴む。


京子の足は、意思とは関係なく前に進んだ。ミサは京子に満面の笑みを見せていた。


「ルリちゃんにも内緒の話なのっ!ね、いいでしょ?行こうよっ、すぐ終わるしさ!!」


「え、でも、トイレは大丈夫なの?」


「トイレここだけじゃないし、違う階でいいって!」


少しずつ、ルリから離れていく。申し訳なく思いながら、京子は諦めてミサに着いていった。


この時、ルリと同じく彼女の笑顔も可愛いと思った。お世辞ではなく、本当にそう思った。


しかし、ルリの時には「可愛い」とだけ感じたが、ミサの笑顔にはまた違う感想を持った。


嫌な胸騒ぎを覚える笑顔だった。


もしかすると、今も腕を掴んでいる彼女の手が、強い力を持っていることも手伝っているのかもしれない。


二人だけで話したいという内容は何か、何故今でなくてはならないのか、分からない。


言い表せない気持ちが、京子の心を支配した。
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