REBORN! 長編

□第2話
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引っ張って来られたのは空き教室だった。昔は使われていたらしいが今は全く使われていないようなので、物置に近い存在かもしれない。


こんなところに何故連れてこられたのか、入った今も京子には全く分からない。ただ、そこまで誰にも聞かれたくない話なのだろうかとは思う。


連れてきてから一言も喋らなかったミサは、背を向けてカチャリという音を響かせた。ドアに鍵がかかる。


何となく気まずいのと、説明はできないが怖い雰囲気に耐えきれず、京子は口を開いた。


「話って、何かな?」


無難に話題を振るとミサはこちらに振り向いた。その目は冷たさを感じるもので、京子は息を飲んだ。


「話?そんなの、だいたい分かってんじゃないの?」


京子は、嫌な"予感"が現実に変わったことを実感した。彼女の口調や雰囲気の変化が少し変わったような気がしたのだ。


「蔭西なんだけどさ、正直言うと好きじゃないんだよね」


いつもと違う雰囲気のミサに驚くが、京子は黙って話を聞いていた。


「初日とかさ、『クラスに馴染めそうにないから助けてあげる。私って優しいでしょ?』って感じのアピールしてたじゃん?あれとかマジ無理」


別人のような態度と友達の悪口というのは苦しいもので、京子の鼓動は早くなった。


そんな京子を見ながら、ピンク色の唇はまた開かれる。


「嫌いだからこっちの味方させてあげるのも嫌だしさ」


緊張で表情の強ばった京子を見ると、ミサはニタリと笑った。残酷さを感じるような、冷たい笑みだ。


「あんたもさ、蔭西と一緒にいい子アピールしてたよね。あれ、すごくウザかった」


ミサは京子にゆったり近づき、あのペンダントを制服の中から引っ張り出した。


太陽の光を浴びて輝くそれは、少し危険なものに見えた。


「あんたのことは大嫌いってわけじゃないけど、蔭西の嫌がらせにはあんたが打ってつけっぽいし」


「きっと、楽しませてくれるよね?」
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