REBORN! 長編
□第1話
1ページ/7ページ
「今日転校生来るんだってー」
「男かな?女かな?」
どこの学校でも同じ、普通の光景だ。転校生と聞いただけでクラスは舞い上がっていた。
"転校生" と誰もが口にするので、山本武もさりげなくその話題を切り出した。
「みんな転校生の話してんな」
なぁ、と話を振られたのは沢田綱吉だった。彼は笑って頷いた。
「うん、そうだね。でも正直、マフィア絡み以外ならどんな人でもいいや…」
やけに疲れたような顔をしている彼は、隣にいる獄寺隼人をチラリと見る。
「安心してください10代目!10代目を狙うような奴なら、この俺が果たすんで!!」
元気いっぱいで物騒な発言をする彼も、かつては転校生。初日から絡まれたことを思い出すと、僅かに頭痛がしたような気がした。
ダイナマイトを取り出しそうな獄寺を綱吉と山本で宥めるのは、いつものことだった。
マフィアの10代目とその守護者であることを除けば普通の中学生なのである。
すぐ隣の席で読書をしていたルリは本を閉じてにっこり微笑んだ。
「獄寺さん、ファミリーとは助け合うものですよ?もし嫌な人なら、私も協力します」
嘘か本当か分からないことを平然と、笑顔付きで言うのは蔭西ルリだ。
彼女も一応守護者の一員ではあるが、同時にヴァリアーの未来の雲の幹部を務める予定を持つ忙しい人物である。
獄寺はそんな彼女の方を見て、いらねぇよ と吐き捨てた。
「そうですか。それで獄寺さん、マフィア関係の人以外ならどうするんですか?」
「仲良くできんのか、獄寺?」
山本とルリ、その上綱吉までもが見守る中で、獄寺は当たり前というように言った。
「馴れ合うつもりはねぇよ」
獄寺らしい言葉に苦笑いし、ルリは読みかけの本に栞を挟んで机のなかに入れた。
予想できた発言に「やっぱり」とつっこみながら、綱吉も苦く笑った。
「まぁまぁ獄寺君。このクラスに来るんだし、仲良くしようよ」
尊敬するボスにたしなめられ、獄寺は表情を変えるのであった。