REBORN! 長編
□第3話
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「楽しませてくれるよね?」
口紅がべったり塗られたピンク色の唇が、醜く歪む。それを見た途端、心臓はバクバクと激しく伸縮を繰り返した。手も少し震えていて、自分の体かどうか疑わしい。
本能的に感じる逃げろという信号を信じ、京子はドアまで走った。急いで鍵を開けようとするが、焦りで手が滑ってしまい、開けられない。
「そんな逃げなくてよくない?」
どうしよう、と思っている間にもミサは進む。ついに、肩に手が置かれて、無理矢理体の向きを変えられた。
顔の前にペンダントを突き出され、それを見るように強く言われた。
「あんたが優しくてよかった。簡単に誘導されちゃって、ほんと馬鹿よね」
クスクスと意地悪く笑い、ミサは何かを言った。聞き取れたはずなのに、急に眠くなって何も聞こえなかった。
京子は薄れ行く意識の中で、優しく笑う友の顔を思い浮かべた。彼女は今、私を探しているんじゃないかと。
最後に見えたのは、嫌な形に歪んだ、口紅でピンク色になったあの唇だった。