REBORN! 長編

□第5話
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一方、黒曜ランドを出たルリとクロームはまた新たな目的地に向かっていた。


見慣れた街を歩きながら、ルリはここ最近あったことについてどんどん質問していた。


ミサと骸が知り合ったのはほんの2週間ほど前で、それから少しずつ骸の態度が変わってきたのだとクロームは言った。


例の騒ぎがクロームとミサの間で起こったのは黒曜ランドであり、3日前だそうだ。


「2週間前…。それで、今までに暴力を奮われたのは何回ですか?」


「暴力…、それなら、今日が初めてだった。骸様は何度も質問してたけど、私が望む答えを言えなかったから…」


私のせい、と言いたげなクロームを宥め、ルリはまた違う質問に移った。


「犬と千種は?あの二人からは何もされてないですか??」


「二人は今、フランスにいるの。骸様の命令で、2週間前から女の人のところ」


クロームの何気ない返答の中で、ルリはふと違和感を感じた。眉をそっと潜め、「2週間前…」と呟いた。


このタイミングは偶然なのか、まるで謀ったようなタイミングではないか。そんな風に疑っていると、今度はクロームから質問されることになった。


「どこに行ってるの?」


今向かっているところを聞かれ、ルリは少し苦い顔をした。広い通りに出たところで、クロームは見覚えがある景色だと気づいた。


もしかして、と予想がついたところで、ルリが少し小さな声で言った。


「私たちの友達で、今傷ついてる人のところですよ」


少し進んだところで、ルリは立ち止まった。クロームも足を止め、目の前の家を見た。


『三浦』という表札を見て、クロームは大きな目を見張った。


「ハルちゃんの、おうち……」


クロームは瞬間的に理解した。この家に住む友達が置かれている状況を。


ルリはインターフォンのボタンを押してから、呟くような声で答えた。


「クロームちゃんの想像とハルちゃんの現実は、きっと同じです」


そう言ったルリの顔は髪の毛の影が濃く、とても暗く見えた。


少ししてからドアが開き、一人の女性が出てきた。彼女はハルの母親だ、ルリもクロームも頭を下げた。


「ルリちゃんとクロームちゃん?どうしたの??」


まだ学校は終わってないと思うけど、と言いたげな顔をする彼女に、ルリはにこやかな表情と明るい声で返事をする。


「こんにちはっ!学校が早く終わったので、ハルちゃんのお見舞いに来たんです。今日の朝、具合が悪いとメールが着たので…」


学校は今も授業中であり、そんなメールも着ていない。しかし、そのことを知らない彼女は納得したように頷いた。


「そうなのよ、もう学校を休んで3日目なんだけど……まだ良くならないみたい。部屋から出ないの」


「ちょっと待ってね」と言って、彼女は玄関のドアを閉めた。二人になった途端、ルリはため息をついた。


「3日……」


その言葉の後は何も続かなかった。クロームが無言のルリを心配の眼差しで見つめていると、ルリは苦い顔をして振り向いた。


「ルカの話によると、4日前に…」


言い終わる前に、会話はドアの音で遮られた。ボサボサの黒髪の少女がやって来る。


「なんで、二人とも……」


目をビー玉のように丸くして、上の空で呟くハルは疲れているように見えた。


それを知りながらもルリは知らない振りをして笑う。


「……会いたくなって、それで来ちゃいました」


本題を切り出したかったが、どう言えばいいのか分からなかった。どうすれば傷つけずに話を引き出せるのかを考えていると、ハルは涙を溢れさせて、ルリとクロームに飛び付いた。


ごめんなさい、と言ってから、ハルは弱々しい声をあげた。


「ハルのこと、助けてください…」


その声にいつもの明るさはなく、クロームもルリも心に何かが刺さるのを感じた。
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