REBORN! 長編
□第7話
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翌日、クロームとルカに見送られながらルリとハルは学校に向かった。
学校が違うハルとは、家を出てすぐの角でお別れだ。名残惜しいと言わんばかりのハルは、ルリの手を握って離さない。
「ルリちゃんが学校で何かされないように、ハルのパワーをお裾分けしますね!」
ぎゅうううっと言って、ハルはルリの手を強く握る。ルリも同じようにハルの手を握り、今日の無事を祈った。
「ありがとうございます、ハルちゃん。今日は何が起こっても大丈夫そうです」
「ハルもですー!今日も1日、頑張りましょうね!」
また放課後に、そういってハルは手を振りながら駆けていった。ルリも見えなくなるまで手を振り、通学路を歩む。
いつもはもう少し遅い時間に家を出て、一人で学校に向かう。しかし、今日は違った。
京子と待ち合わせをしている。少し早足で待ち合わせ場所に向かった。
いつもの通学路を途中で曲がり、たまに時計を確認しながら待ち合わせ場所に急ぐ。
約束の時間の5分前、指定された公園に茶髪の少女が見えた。
ルリは片手を上げると、それを振りながらタタタッと軽やかに駆け出す。
「京子ちゃんっ!」
その声に振り向き、ルリの姿を確認すると、京子はにこっと笑って片手を上げた。
隣に来て立ち止まり、ルリはぺこりと頭を下げて「おはようございます」と笑った。
おはよう、と京子が言葉を返すと、二人はどちらからともなく歩き出した。
何でもないような話をしながら、道を歩く。時に笑い、時に沈黙し、二人は学校に向かった。
やがて校門が見えてきて、そこには風紀委員会の委員たちが立っていた。中には雲雀もいる。
「おはようございます」
声を揃えて挨拶すると、みんな軽く会釈を返した。雲雀の横を通りすぎようとすると、彼は前を向いたまま呟いた。
「馬鹿な小動物には気を付けなよ」
ルリは考えるように、一瞬止まった。それから、雲雀の方に首だけ振り向かせて、ありがとうございますと笑った。
そのまま玄関へ向かい、朝練終わりであろう生徒たちの群れに混ざり、靴箱を開ける。
上靴を取り出して履き替え、京子とともに教室に向かった。すれ違う人々の何人かは、こちらを二度見した。
主に隣のクラスの女子だった。さすが、噂話には敏感らしい。
「なんか、見られてる……?」
京子は小さな声でルリに尋ね、ルリは頷きで肯定した。
どんな噂がどこまで広まっているかは知らないが、じろじろ見られるのはいい気分ではない。
ルリはぴたりと足を止めて、体を反転させる。振り向いたルリは、先程すれ違った女子とばっちり目があった。
なんの前触れもなく振り向いたルリに驚いたのか、彼女はすぐに目を反らした。足早に去ろうとした彼女に、ルリは少し大きな声で呼びかけた。
「あれ、私に話があったんじゃないですか?さっきからずっとこっちを見てましたよねえ」
分かりやすく動揺した彼女は、ぎこちない作り笑いを浮かべて否定する。そして、そそくさとどこかへ行ってしまった。
ルリはふっと笑い、再び進みたい方向に爪先を向ける。噂好きらしい女子生徒がルリを見ていたが、すぐに目を反らした。
噂はするくせに、いざ本人を前にすると何も言えない腰抜けばかりだ。気になっているくせに、詳しいことは聞きたがらない。
ルリは知ってる。彼女たちのように、傍観者を決め込みたいくせに内情を知りたがる者たちが波風を立てる根源だと。
早く解決しなければ面倒なことになると思いしって、ルリは溜め息が溢れた。