REBORN! 長編
□第2話
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ルリが携帯のボタンを押して数秒後、何処からか歌が聴こえてきた。音の発信源を探すべく、皆が耳を傾け教室を駆け回る。
「あっ、これか!?」
本棚の近くに居た山本が、本棚の裏に手を伸ばした。手には、ストラップの付いたピンク色の携帯があった。
それがミサの手に乗せられる前に、歌は鳴り止んだ。代わりに、相手が通話を諦めたことを示す電子音が流れている。
知らない番号が示された画面を確認してから携帯を閉じ、ミサはにっこり笑った。
「間違い電話だったかも。でも、助かっちゃったな」
よかったね、と言いながら、綱吉は何でそんなところに と言いたげな顔で首を傾げていた。
そんな様子を横目で見て、ルリは携帯の電源を切った。そして、あまり状況が理解できていないらしい京子に向かって微笑みかけた。
「携帯を見つけるには、鳴らすのが一番早いでしょう?」
ね?と言うルリに、京子もにこりと笑い返した。しかし、そのあとすぐ、不思議そうに首を傾げた。
「番号、どこで知ったの?」
ルリとミサが話しているところを見たのは、転校初日だけ。ルリが番号を聞いている姿を見ていない京子の疑問は当然のものだった。
「情報収集が得意な知人が教えてくれたんです。役に立ちました」
個人の番号を特定する知人。今目の前にいる彼女のもうひとつの顔を知っていれば、その知人がどういった職であるかはすぐに分かる。
悪用だけはだめと釘を刺せば、ルリは当然だと笑った。その笑顔は満開の花を思わせるような愛らしさがある。
やってることは怖いけど、と心の中で思ったことは本人には口が裂けても言えないが。
笑顔で誤魔化している京子には気づかず、ルリもにこにこ笑っていた。
そんなとき、ふとルリが思い付いたように声を上げた。
「それより、黒澤さんは携帯所持の許可を取っているんでしょうか?」
この学校では、風紀委員に許可を貰わねば携帯を所持してはいけないという規則がある。
ルリは雲雀に許可をもらっているので問題ないが、彼女はそんなことを知っているようには見えない。
「前の学校はよかったんじゃない?でも、雲雀さんに見つかったら怒られちゃうね」
大丈夫かなぁ、と心配そうに呟く京子の隣で、ルリは顎に手を当てて考えた。
「周りが知らせないのも問題ですよね…。恭さんなら怒られるどころか、命の危機もありえるのに」
深刻に呟かれた内容は起こりうることなので、京子も否定せずに頷いた。
「あとで教えよっか」
「そうですね。気づいた人が言えばそれで済みますし」
すでに鞄に仕舞われたのか、ピンク色の電子機器は見当たらない。視界に映るのは、友達に囲まれ楽しそうな笑顔を浮かべるミサだけだ。
しかし、この携帯騒動のあと、またも騒動は起きた。それによって、ルリたちは規則のことを教えることが叶わなくなった。