自作小説
□星の郵便局
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今日も下から声がする。
『明日、晴れますように。』
『好きな人と両想いになれますように。』
だのいう、声がひっきりなしに聞こえる。
星が輝いている夜空を見上げて、人々が願い事をしている。
「・・・くっだらねぇ。」
俺は、一人その声を聞いている。
俺のいるこの世界は、人間が言う天界とは少し違う。
実際問題、気が付くと此処にいたというのが正しい表現だ。
自分が誰かもわからない。なぜここに一人でいるのかも。
目が覚めたら、雲の上にいた。
体はあの日から成長も退化もしていない。
「暇すぎるな。何か面白いことはないのか。」
ふと考えてみる。ここに来てから、この場から移動したことはない。
「散歩でもしてみるか。」
そう思い立って、自分のいた雲を後にする。
軽く跳んだだけで、数メートル先の雲へ移動できた。
「割と簡単に移動できるんだな。」
まだまだ先の見えない雲の道をひたすら歩き続けた。