二次(その他)

□偽りの幸せ、真実の痛み
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 ひどく懐かしい、厭な夢を見た。

 首に鈍い痛みを感じて、私は目を覚ました。いつの間にか寝ていたらしい。長椅子から起き上がると、体の上に載っていた書物が床に滑り落ちて微かな音を立てた。
 それを拾い上げようと手を伸ばすと、再び責め立てるように首筋が痛みを訴える。少しだけ顔を顰めて、私は首を押さえた。
 最近はあまり痛むことがなかったのだが。しばらく治まっても、忘れたころにまた存在を主張し始める。今回は特に顕著で、痛みに比例して怠さが増していくようだった。
 やっていられない。
 本を拾うのも面倒になり、私はまた長椅子に横になった。
 それなりに長い時間眠っていたはずだが、またすぐに眠気が襲ってくる。
 疼くような痛みを置き去りにしようと、私は眠りの淵へ身を沈めた。



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