book.

□嫉妬。
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ハルが何時も見せてくれる少しだけの小さな笑みも、俺だけに見せてくれる気遣いの視線も、思い遣りも全部、全部…俺だけのモノだと思ってた。ハルは俺の事が好きで俺もハルが好き。それでいい。なのに、お前は凛を選んだ。

あの日の言葉。俺が気持ちを伝えた日。

「ハル、好きだ。友達としてじゃなくて…恋愛感情として。」

ハルは驚いた顔をしたけど、きっと頷いてくれると思っていた。だって、相思相愛だから。でもなかなかハルは口を開こうとしてくれない。暫くして、ハルは気まずそうに顔を上げて、「ごめん」と言った。

…え?俺達は相思相愛で、好き合ってるんじゃなかったの?そう思ってたのは俺だけ?頭が混乱する。脳にハルの続く言葉が響いた。それは、衝撃的で…。

「 俺は、凛と付き合っている。隠してて悪い。 」

その後に「……ありがとう」とハルは言った。でも、俺は納得出来無い。なら何で俺に渚達の知ら無い顔を見せるんだ?

俺は、一つ思いついた。

きっと、ハルは凛に弱みを握られてるんだ。可哀想に。俺がハルを自由にしてあげル…。

「あははは…」

乾いた笑みが溢れた。ハルが怪訝そうに見てくる。俺はハルに「今自由にしてあげるね」と言ってそのまま鮫柄に行った。鮫柄で凛の後輩に呼び出して貰った。暫くして、凛は「なんだよ」と俺に姿を見せる。

「……凛。」

凛は俺の顔を見て後ずさった。まるで、化け物を見ているような顔をしていた。

ハル、今自由にしてあげるからね。

____こいつ、危ない。

凛は俺から逃げようと少しずつ間を空けて行く。それを逃がすまい、と俺は凛を一気に追い詰め、首に手を掛けた。そのまま絞めていく。

「ぐ…っ…なん、で…だよ…っ」

「凛、お前がハルの弱みを握って付き合ってるっていう嘘をついたからだよ、俺はハルを自由にするんだ。」

益々力を入れていく。凛は驚いたような、俺を哀れむような瞳で俺を見据えてくる。

まるで、“お前、可哀想だな”と言っているような。

その目が嫌いで、俺はまた力を入れた。苦しそうに凛はもがいていたがやがてピクリとも動かないようになった。

「これで……ハルも自由になれる。良かったね、ハル」

俺はそう呟いて鮫柄から家に帰る為、電車に乗り込んだ。
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