喫茶RoseCross
□Day1†いらっしゃいませ
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アレン(以下ア)「……どうするんですか?」
喫茶店『RoseCross』
開店1時間前
ラビ(以下ラ)「どうする、って…どうにかするしかないさぁ」
ア「だからどうやって!」
今日はいつもより早くスタッフがほぼ全員揃っていた。
リナリー(以下リ)「ジェリーがいない以上、代わりに誰かがやるしかないよね」
今日、何故早いうちからスタッフがいるかというと
ある問題が発生したからだ。
この店でシェフを務めるジェリーが、高熱で動けない
との知らせを受けたのだ。
そこで、急きょ代理が必要になった訳だが、
ア「でも、誰か料理できるんですか?」
その代理を誰にするか、が決まらない。
リ「マニュアルあるから、今日くらいなら大丈夫だと思うんだけど…」
リナリーが困ったように首を傾げる。
実は、リナリー。ジェリーの連絡を受けて直ぐ、
『じゃあ、私が代わりに』
と申し出たのだが……
「ダメだよ!リナリー!ぜっっったいダメ!」
店長のコムイに全力で止められたのだ。
リ「兄さんよりは料理できるのに、何でかな?」
ア&ラ(『リナリーの手料理を食べていいのは僕だけ』とかなんだろうなぁ)
コムイの分かりやすい思考を想像し、少々頭が痛いアレンとラビ。
リ「私じゃダメとなると、あとの選択肢は2人だけだよね」
リナリーはシフト表を見ながら言った。
ア「じゃあ僕が」
ラ「いやだめだね!俺がやった方が絶対いいさぁ」
ア「な、なんでですか?」
自信満々のラビは、アレンにビシッと人差し指を向ける。
ラ「だってアレン、つまみ食いして食品食い尽くしそうじゃん」
ア「そ…そんなことないですよ!」
ラ「どうだか」
ラビがわざとらしく首を傾けるので、アレンも負けじと反論。
ア「そんなこと言ったら、自分だって!食器運びを格好良くしようとして割りまくってるくせに!」
ラ「うっ…そ、それは」
譲り合いの精神になるかと思いきや、相手の非を指摘し合い始める2人。
非の打ち所満載の両者。
本来の主旨を忘れ、罵り合いになってしまった。
リ「いい加減にしなさい!」
胸ぐらを掴み合いそうになったところで、女神の一声。
一度静かに戻り、そして振り出しにも戻った。
ア「で、結局どうするんですか?」
ラ「もう、お互いの運に任せるしかないんじゃね?」
リ「運?」
ア「くじ引き?」
ラ「くじ引きだとズルできちゃうだろ?ここは男らしく」
ラビは拳をギュッと握り、ガッツポーズをとる。
ジャンケン
ラ「真剣勝負さぁ!」
ア&リ「……(普通に言えばいいのに)」
ア「わかりました、じゃあジャンケンで決めましょう」
ラ「三回負けた方が代理な」
ア「後出ししないでくださいね?」
ラ「そっちこそ」
《代理シェフ争奪ジャンケン一回目》
リ「じゃあ、一回目はじめ!」←審判
見合って見合って
真剣に構えるアレンとラビ。
2人の背後に虎と龍が見えてきそうなオーラだ。
負け
ア&ラ「出さなきゃ代理だよジャンケンポン!」
ア「……」
ラ「…っ」
リ「はい、一回目はアレンくんの負けね」
ラ「ッシャア!」←勝者
ア「…」←敗者
ラビは代理をやりたいのかやりたくないのか
とにかくジャンケンに勝ちたいらしい。
《代理シェフ争奪ジャンケン二回目》
リ「じゃあ、二回目ね」
一回目と同じく、(たかがジャンケン)に真剣そのものの2人。
アレンは手に力を込める。
ここで負ければ代理確定だ。
負け
ア&ラ「出さなきゃ代理だよジャンケンポン!」
ア「……」
ラ「……」
リ「はい」
果たして結果は、
リ「二回目はラビの負けね」
敗者、ラビ
勝者、アレン
ラ「なかなかやるでないの?ガキんチョ」
ア「若い方がここぞという時の運が強いんですよ」
リ「2人とも、歳あまり変わらないでしょ?」
かくして
三回目の大勝負に挑む2人。
ラ「次がラストか」
ア「負けません」
リ「2人とも、主旨わかってる?」