喫茶RoseCross

□Day3†ハロウィンサービス中
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ラ「Happy Halloweenさぁ!」


ラビが元気よくそう言うと、客が嬉しそうに手を振って帰って行く。



喫茶RoseCross。
今日は10月31日。ハロウィンサービスDay。



ア「Trick or treat!」


アレンがリナリーに、お決まりの文句を言った。
リナリーはクスクスと笑って、

リ「もう、それを言うのはお客様でしょ?」


と突っ込んだ。
アレンは、少し残念そうに笑う。


ア「まあ、そうなんですけどね。ハロウィンといえば、じゃないですか、この台詞」
リ「そうだね。そういえば、ラビはさっきお菓子もらってたよ」
ア「えぇ!いいなぁ」


本当に羨ましそうに言うアレン。


リ「アレン君も、誰かがくれるかもよ?」


来客のベルがなったので、リナリーは出迎えに行った。

サービスdayだが、比較的空いている店内。
残ったアレンは、店内の様子を見て、特に呼び出しがないことを確認した。

すると、


?「あっ、あの!」


と、後ろから聞き慣れた声がした。



蝋花(以下蝋)「こ、こんにちは」


それは、RoseCross常連客の蝋花だった。
アレン目当ての客でもある彼女は、日夜、栄養バランスのいい御手洗団子を考案している(らしい)。


ア「あっ、こんにちは…じゃなくて、いらっしゃいませ、ですね」


アレンの満面の笑み。


蝋(ズキューンッ……)




営業スマイルであったとしても、蝋花の眼鏡は曇っていく。


ア「?」


急にジッと自分を凝視した蝋花に、アレンは「何か?」と尋ねた。


蝋「あ、あああの、えっと。何でもな…いや、無くはないんですが、その」
ア「蝋花さん、落ち着いて」


アレンに言われて、高鳴る心臓を整えた。

そして、蝋花は手に持っていた紙袋をアレンに突き出す。


蝋「こっ、ここここれ!なんですけど」
ア「はい?」
蝋「今日は、Halloweenなので」


段々と声のボリュームが落ちていく蝋花。
しかし、アレンは直ぐに、彼女が何を言わんとしているのかわかった。



蝋「う、うけ、受け取って下さ」
ア「あっ、待って待って、蝋花さん」


アレンは急に思いついたというように言って、蝋花の目の前の空気を両手で押した。


蝋「えっ、あ、えっ?(いらないのかな?どうしよう。迷惑?とか?)」


蝋花が戸惑って、紙袋を突き出したまま固まっていると、


ア「せっかくHalloweenなんですから、言わせて下さい」
蝋「?」


アレンは中腰になり、目線を蝋花に合わせた。


ア「Trick or treat!」


蝋花は驚いたような顔をして、そしてすぐ顔を湯気が出るほど真っ赤にした。


ア「あれ?くれないんですか?イタズラしちゃいますよ?」
蝋「あっ、はい、えと、は、
Happy Halloweenです、ウォーカーさん」
ア「Happy Halloween。ありがとうございます」
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