喫茶RoseCross
□Day4†ご注文はお決まりですか?
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ティエドール(以下ティ)「来ちゃったぁ」
神「……何であんたがここにいる?」
喫茶店『RoseCross』。
午後のティータイム。
ティ「息子の仕事ぶりを見にね。ついでにお茶を一杯頂いてのんびり絵を」
神「いつ俺があんたの息子になった」
ゆったりと外の席に腰掛け、スケッチブックを片手に優しく笑う彼は、
マ「神田がシフトの時に予定があわなかったらしい。まあ、今日は親孝行するんだな」
神「だから、親じゃねぇ」
マリと同じ、RoseCross常連客。
シフトの時に来ても神田がいなかったのは、神田があえて避けていたから。
それはマリも知っているが、まあ言えるわけはない。
ティ「いつ来ても、ここは楽しくていいねぇ」
にこにこと、のんびりと
午後の陽気を体現したような物腰で、店の前を行き交う人に軽く挨拶をする。
ア「だから、そのモヤシっていうのやめてくれませんか?」
神「はっ、どっからどう見ても『モヤシ』だろ」
ア「パッツン蕎麦男に言われたくないです」
神「あ゛ぁ?」
何時でも、顔を合わせれば火花を散らすウェイターの二人。
ティ「仲良しだねぇ」
ア&神「仲良くないです/ねぇよ!」
喧嘩してばかりの二人を、常連客は微笑ましく見守っている。
マ「今日は一段と賑やかですね」
ティ「そろそろ、リナリーが止めに入るころかな」
リ「こら!2人とも」
ティ「ほらね」
シャッシャッと鉛筆の音。
先ほどまでは真っ白だったそのスケッチブックに、
間もなくして現れたのは、3人のウェイターの姿。
喧嘩で少し怪我をした神田とアレン、そして、トレーを持って2人を仲裁しているリナリーだ。
ティ「そういえば、マリ君」
マ「はい?」
ティ「君の『幸せの女神』は、今日は、いないのかな?」
マ「その噂、まだ続いていたんですか……。今日はまだみたいです」
ティ「そうなんだ」
少し照れた様子のマリ。
『幸せの女神』ことミランダは、まだシフトの時間ではないらしいが、彼女の話を嬉しそうにするマリ。
話に耳を傾けながら、描かれたのは2人の仲むつまじい午後のひととき。
ティ(早く時間になるといいねぇ、マリ君)
そんな店内を眺めているうちに、すっかりお茶が冷めてしまった。
ティ「おかわり、もらってこようかな」
マ「行きましょうか?」
ティ「いや、いいよ。せっかくだから、ツンデレのユウくんに頼んでこよう」
マ「わかりました」
ティエドールは鼻歌を歌いながら、どう『息子』に声を掛けようか、と考えていた。
息子の邪魔をしないように
と、客であることをすっかり忘れて頭をひねってみた。
が、何も思い浮かばず
ティ「やぁ、ユウくん」
普通に話しかけるティエドール。
神「なんでしょうか、お客様」
『お客様』を強調する神田に、寂しそうな顔をすると、
神「何ですか」
と言い直す。
ティ「そこは、『何?パパ』だよ」
神「誰がそんなこと言うか!」
ティ「いいから、パパと呼びなさい。お客様の頼みだよ」
神「当店ではそのようなサービスは取り扱っておりません」
バッサリ切り捨てられたティエドールは、涙を滲ませつつ、
ティ「お茶のおかわりを貰えるかな?」
と、ティーカップを差し出した。
はぁ、とため息をつき、それを受け取った神田が、
神「お席でお待ち下さい」
と、奥へ消えていく。
それを見送りながら、
ティ「ちゃんと店員さんしてるんだね、お父さんは嬉しいよ」
と、涙を一粒。
席に戻ろう、と店の外に出ようとしたその時。
客A「殺したい!」
客B「あっちのパッツンか?白髪が?女の方か?」
客A「ジャンケンするぞ」
客B「一人余るぞ」
(※客=AKUMA)
店の奥から、なにやら不穏な会話が耳に入った。
パッツン=愛しの息子(神田)
白髪=その友達(アレン)
女=二人の女神(リナリー)
客B「余りは半分つだ」
客A「どうやるんだよ」
リ「お客様?ご注文はおきまりですか?」
リナリーが手を挙げた二人の客に注文を聞きにいく。
客A&B「早いもの勝ちだ」
首を傾げるリナリーに、客達は本性(本能)を現した。
(※転換してません。ただ本能剥き出しに武器っぽい何かを出しただけです)
リ「えっ…!」
今、お父さん(自称)のイノセンス(という名の家族愛)が発動された。