The*Borderland

□第二之境界
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第二之境界




朝。




「へっくし」



くしゃみ?

振り返ると、鼻を啜りながら下りてくるリードさん。



「おはようございます」
「おはようございます」
「?」



何だろう…、昨日より疲れてる?



「リードさん、よく眠れなかったんですか?」
「いや」



そう言ったリードさんは、くしゃみをまた一つ。



「風邪…ですか?」
「…昨日、風呂に浸かりすぎた」
「あっ、浴場に行ったんですね!どうでした?」



あのお風呂はかなり自慢できる。



「熱かった…が、助かった」



助かった?



「何がですか?」
「いやな、それg「やっほーい!!」



ローグが階段から駆け下りて、リードさんに抱きついた。


さっそく仲良くなったんだ、安心安心。



「おはよう、ローグ」
「おはようさんです☆姫様」



元気よく敬礼してくるローグ。
因みにそれ反対だけど。


ローグはいつも明るくて元気だから、きっとリードさんとすぐ仲良くなれると思ってた。

今も背中におんぶされてるし、よかったよかった。



「げほっ…はな、せっ…く…びが」
「いやです!アタシは兄貴について行くのです!」
「いや、結構だ」
「ひどい!第一の妹分に対して!〈てめぇ、新参者の癖に生意気だな〉」
「心の中身がダダ漏れだぞ、『将軍補佐』?」



楽しそう。
←〈〉内が聞こえない人



「朝から騒がしい!」
「あっマー君」
「次にそう呼んだら獅子に喰わせましょうか?」
「ひっ」



寝起きが悪いマービンは、朝はいつも機嫌が悪い。


でもリードさんと同じであくび一つしないのは、やっぱり自分に厳しいからだと思う。


というか、他人にはもっと厳しい。

よく私も怒られるし…。



「おはようございます、ルネ様」
「おはよう、マー君」
「…喧嘩を売れるようになられたのはいいこととは言い難いですね?」
「ごめんごめん、マービン」
「はぁ」



マービンは、怒ると怖い。


かなり怖い。


から、全てを冗談で済まさないと、必死。



「皆はどうですか?まだ1日しか経ってないのでわからないかもですけど…」
「あの男は気が合いそうだ」
「マービンですか?たしかに、ちょっとリードさんに似てますよね」
「……先は長そうだがな」
「?」



4人で食堂に向かう。

と、入り口にタニタが立っていた。




「おはようございます、姫お嬢様」
「おはよう、タニタ」
「…そこの2人は新人様に何を?」
「「おもてなし」」
「(…あの世へ)連れて行きたいなら(…もっと首を)しめなさい」



タニタがローグにドアを閉めるよう促した。




「はーい」
「ちょっと待…てっ」
「早く席について、4人とも」←やっぱり聞こえない人




皆がリードさんに敵意むき出しだったらどうしよう、と思ってたけど…


朝からいつも以上に賑やかで楽しくて、私は自分の心配事がバカらしくなった。


じゃれ合ってる3人を席について見ていると、腕にしがみついてくるものがあった。




「ルネ……オハヨ…ウ…」




しゃがんで見上げてくるアビー。

人見知りだけど、気に入った人にはくっつきたがりの甘えん坊。
毎朝腕や膝にほっぺたをすりすりしてくるけど、
でも、今日は少し様子が違う。




「?、おはようアビー」
「……」
「どうしたの?」




緊張したような表情をしているから、落ち着かせようと頭を撫でる。

すると、朝食を運んできたディオが言った。




「あの副将がいるから落ち着かねーんだと」
「リードさん、身長高いから怖いのかな?」




アビーはふるふると頭を横に振った。




「おっきい…怖く、ない…」
「そっか……じゃあ、何か気になるの?」
「鉄砲…臭い……ナキ…違うの……ビリビリ」



ナキと拳銃の臭いが、少し違うらしい。
それがアビーの神経をビリビリさせて緊張してしまっているみたい。




「すぐ慣れるようになるよ、つらかったらディオや私のとこにおいで」
「ん……」
「はぁ、ルネ姫、あんたほんとにアイツが副将でいいのか?」
「……本部の決定だもの、仕方ないよ」




本部には逆らえない。

たとえどんなことがあっても…。


暗い顔をしてしまったようで、ディオが




「わりぃ…。そうだよな、姫が決められるわけじゃねぇしな、変なこと言って悪かった」



と、焦った様子で謝ってきた。


いいよ、気にしないで

って言おうとしたら、




「またルネ様を困らせる発言をしたんですか?この爆弾魔は」

いつの間にかマービンが後ろに立っていた。


あーあ、また始まっちゃうよ。



「爆弾魔だと?てめぇご自慢の耳に火薬つめてやろうかマー君?」
「そろそろ時間だ、さっさと食事の準備をしたまえ、火薬頭」
「あ゛あ?」




それぞれフランスパンとフォーク片手に言い争っていた。


このままだと食事どころじゃなくなる!


アビーもそう思ったようで、2人でディオとマービンの間にわって入った。




「もう2人とも仲良くして!!」
「ディオ…喧嘩…ノンノン!」
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