頂物/捧物/落書

□サンタな処刑人
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「た、助けろっ」
「は?何」
「とりあえず……匿え!」
「いやだから何だっ……て」



丁度歯を磨いていた俺は、いきなりテントに来たマヤを振り返る。



一瞬だけ……絶句



「お、おい?お前…そんなしゅm」
「黙れっカイ、何も言うな、言ったらミンチにして今日の夕飯にするぞ、こらっ」
「こえぇから脅すな。お前のそれ冗談に聞こえないぜ?」
「私は本気だぞ…。とにかく、しばらくの間匿え」



普段、別に特別女らしいわけではなく、てかはっきり言って男っぽいマヤの今日の服装。


サンタ?

メリークリスマス
なんて、よく昔の絵本であったな。それにサンタクロースとかゆうじぃさんだかなんだかが出てきて…



「今日、クリスマスなんだ」
「そうだ、クリスマスだ、よく知ってたな」
「まあな」
「とりあえず……服を貸せ」


服?

ああ、なるほど



「無理矢理着せられたんだな、それ」



なんとなく予想してはいたけど…



「…ライトが『クリスマスって知ってる?』とか言って、あいつ等にいらんこと吹き込みやがった」
「クリスマスは赤い服のコスプレする日、みたいな?」
「そう!サッイアクだろ?」
フードつきの赤いマントを脱ぎ捨て、いつもは着ていないふわふわしたスカートを引っ張るマヤ。



「こんなの似合わねぇっての」「…」



いや、普通に似合ってる。

てか、すげぇ、にあ……



「似合ってない!」
「ああ、だから言ってんだろが、似合わないって」
「……」
「お前、やっぱ変な奴だな。……とにかく服!服貸せっ」



服を脱ごうとするマヤをぼーっと眺める。



「お前、その下はちゃんと着てんだよな?」
「ん、下着」
「そっか……って!待て!脱ぐな!ストップ、ストップ!」
「なんだよお前。私はこれ早く脱ぎたいんだよ」
「今、服出すから!少し待て!」



なんなんだよ、コイツはぁ〜


なんとか危機を回避し、服を探す。



「ん」
「おっ、サンキュー」



ガサゴソといった感じで着替えようとしたマヤ。

ところが…



「「マヤ姫!!」」
「「!!」」



カナトを含む、マヤを『マヤ姫』と呼び始めた奴らが入り口から顔を出した。


というか突入してきた。



「まだ俺ら写真撮ってないっす」
「撮らなくていいだろが!」
「また着てくれるんですか!?」
「誰も、んなこと言ってねぇだろ!」



やんややんや



「いいだろ、撮らせてやれば」


いつの間に
入り口にもたれかかっていたライトさんが、笑いをこらえつつ言った。



「ぜってぇ嫌だ!」
「いいじゃないか、似合ってんだからさ」
「…似合ってない」
「いや、似合ってるよ」
「…似合ってない、なぁ、カイ」



俺に振るのか!?


『似合ってない』ともう一度言え

って目で俺に念を送ってくるマヤ。



すると


「似合ってるよ、なぁ、相模カイ」



だからなんで俺!?


ライトさんが、ニヤニヤと笑いながら言ってきた。



「カイ」
「相模カイ」
「う…えーっと…」



こういう時、中立を保つのが一番だよな、うん。



「ふ、普通?」
「は?」「ぶっ」



ライトさんが吹き出し、マヤは若干怒り気味。



え?なんで?



「おっまえ、さっきは似合ってないって言ってただろ!」
「くくくっ」
「ライト!てめぇはなんでツボってんだよ」
「いや、あはははは」


マヤに殺気を感じ、ライトさんからは笑われ、なんか今日はツイてない。


せっかく、マヤと話し……



「……もう嫌だ」
「「?」」
「……ぐすっ」



もう勘弁してくれ、自分がわからなくなってきた…



「お、おい、カイ?」



カナトが仲間たちを静めて近づいてくる。



「大丈夫か?」
「ぜーいん出てけっ!」
「へ?」
「もう、クリスマスでもコスプレでも好きにしてくれ、俺はしばらく寝る」



そうだ、コイツらと関わってないで、今日は寝る!
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