□箱
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私はそれを箱の中にしまい込んだ。



やはり、少し気味が悪かったのだ。



だから貰い物か何かの菓子の箱にしまった。



ある程度高さのあるものでないと入らない。



それが収まる箱を探す必要があった。



“それ”に背を向ける。



こちらを見ている。



ずっと寒気を感じていた。



舐めるような視線が冷たい汗とに背中を伝う。



箱を見つけた時も、振り返るのには勇気がいった。



拾うとき、私はわざわざ後ろに回り込んでから拾い上げた。



どうしても、あの黒目と真正面で向かい合おうとは思えなかった。



しまい込んだ後、厳重にひもで縛った。



そして、それをそのまま机の引き出しの奥にしまった。



捨てる気にはならなかった。



なれなかった。



部屋はしんと静まり返っている。



かた、と何かの音がした。



私の脳裏には箱の中で眼球が動く様子が浮かんだ。



背筋を何か冷たいものがはった。



今はここにいたくない。



出かけよう。



私はあの路地へ向かうことにした。



もう一度ジャケットを着て、部屋を出る。



後ろ手にドアを閉めるとき再び、かた、という音を聞いた。








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