夕陽、見上げて
□第2話
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「エリ!起きてっ!」
「ん゛〜……」
「もうっ!エリったらーーーっ!」
調査兵団宿舎の1室。
それは毎朝のように繰り広げられる光景。
【第2話】
「もうっ!ホントに起きないと、朝ご飯食べ損ねちゃうよっ!」
「どうした?ぺトラ。」
「ジェシカ!もー助けてっ!!エリが起きないのっ!」
「はぁ…またか。エリ起きなっ!」
「うー、あと…ちょっと。」
「ったく。しょうがないね〜。」
ゴチンっ!!
「――――ってぇっ!!!!!」
なかなか起きないエリに、ジェシカの鉄拳が下された。
ちなみに、これもいつもの光景である。
エリは、殴られた場所を両手で押さえ、涙の浮かんだ目をぱちぱちとさせている。
まだしっかりと頭が働いていないようだ。
「ほらっ!エリ着替えてっ!ごはん食べに行くよ。」
ぺトラがエリの腕を引っ張り、身体をベッドから引きずりおろした。
以前、エリを起こした時、目を覚ましたと安心したら少し目を離したすきにまた寝られたことがある。
それ以来、ぺトラはエリが目を開けたら、すぐさまベッドから引きずり出すと心に決めている。
「ふぁ〜。はいはい。そんな引っ張らなくても行きますってばよ。」
ほっといてくれればいいものを。と思うが、それを口にするとまたうるさそうだし、そこそこお腹もすいているので、その言葉は言わないことにした。