夕陽、見上げて
□第4話
1ページ/4ページ
「ふー。」
先日の壁外調査から1週間。
今エルヴィンの周りは書類で埋め尽くされている。
壁外調査の前に大量に書類を片づけたというのに、今度は各班からの調査報告書で再び机に山が築かれた。
兵士長であるエルヴィンはこれを全て読み、まとめ上げ、総括報告を団長にしなくてはならない。
(これでは壁内に戻ってからも生きた心地がしないな。)
心の中で愚痴をこぼしながらも、これが仕事だと自分に言い聞かせ書類に手をつけ始める。
(これは……。)
何枚か報告書を読んでいると、ある書類が目に留まった。エリの報告書だ。
「エリ。君はこのままだと確実に……。」
エルヴィンは、容易く想像できてしまったエリの今後に顔を歪ませた。
第4話
「ーー以上です。」
エリは、エルヴィンの執務室で先日行われた壁外調査の報告をしていた。
通常ならば一般兵であるエリが報告をする事はないが、エリは前回の壁外調査で奇行種を討伐している。
巨人の生態について不可解なところが多い中、奇行種については特に分からないことだらけだ。
今後の人類繁栄のためにも、奇行種と遭遇、あるいはそれを討伐した者には、書類および口頭での報告義務が課せられる。
「ご苦労。もう下がってかまわないよ。」
「はっ!失礼いたします。」
しっかりと敬礼をする完全仕事モードのエリに、エルヴィンは少し寂しさを感じながらエリを帰した。