夕陽、見上げて

□第5話
1ページ/3ページ






「エリじゃないか。…元気か?」


「◎△$♪×¥●&%#?!」


「……。」


「あ、ミケーっ!こんなとこで何してんの?」


「ハンジか。さっきここでエリにあったんだが…。」


「あー…、逃げられたのね。」















【第5話】















壁外調査の後始末もほとんど落ち着き、兵士たちには2日間の休暇が与えられた。


それぞれ故郷に帰ったり、遊びに行ったりと思うままに過ごす中、エリは居残り組の一人だった。


ルームメイトのジェシカやぺトラも実家に帰ってしまったため、部屋には一人だけとなったが、エリにとってそれはとても好都合なことだった。

心置きなく寝れるからだ。





と言っても、お昼過ぎには空腹で目が覚めた彼女は、食堂に向かうことにしたのだが、その途中でミケに遭遇し……逃げた。


エリはミケが昔から苦手だ。

ミケは初対面の人の匂いを嗅いでは、鼻で笑う癖がある。
エリもミケに初めてあった時、例外なく匂いを嗅がれたのだが、それがきっかけでミケ恐怖症になったようだ。





「はぁ…はぁっ!びっくりした。」
壁に手を付き呼吸を整える。


「ここに入ってからずっと会ってなかったから忘れてたけど、そうだ、ここにはミケがいるんだ…。」

ミケには悪いが、今後できる限り会いたくないものだ。
心臓に悪い。





食堂のドアを開けると、居残り組の何人かが昼食をとっていた。


「エリ。君も居残りだったのか。」


「ナナバ兄さん。」


「ちょうどお昼を作ったところだ。食べるかい?」


「食べるーっ!」
入ってすぐに出会ったナナバに昼食をごちそうになることにした。





「今日は素直なんだね。」
美味しそうにご飯を食べているエリにナナバが話しかける。


「ん?あー、今ほとんど人いないし。休みだし。」


「いつもそんな感じで接してくれていいのに。」


「やーだね。特別扱いだと思われたくない。」


「なるほど。でもその様子じゃ、リヴァイやエルヴィンがうるさいだろう?」


「特にリヴァイね!この間の壁外調査の時なんかさ〜!」


「…俺がなんだ。」
2人でご飯を食べながら、近況について話し合っているとリヴァイが入ってきた。



「やぁリヴァイ。君も食べる?」


「あぁ、もらう。」
了解。とナナバがリヴァイの分の食事を用意しに行った。





エリがナナバの後ろ姿を目で追っていると、顔をしかめたリヴァイが目に入った。

エリは寝起きの格好で部屋から出てきたため、上はタンクトップ以外何も着ていない。
リヴァイはそれが何故だか気に入らなかった。



「……。」


「なに?うわっ!」

リヴァイは自分の羽織っていたカーディガンを脱ぎ、エリの顔面に投げた。


「着てろ。はしたない。」


「は?」



エリはちゃんと意味を理解できなかったものの、これ以上騒ぐとうるさいので大人しくリヴァイのカーディガンを着ることにした。

それをリヴァイはしっかりと確認し、エリの横に座る。


「……ねぇ、あっちで食べなよ。」


「うるせぇ、寄れ。」



そのあと戻ってきたナナバが、エリがリヴァイのカーディガンを羽織っているのを見て、こっそり笑ったのは言うまでもない。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ