夕陽、見上げて
□第8話
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「ふー、だいぶキレイになったね!」
「つかれた。お腹すいた。眠い。」
「お昼にしよう!私が作ってくるよ。」
ジェシカはそういうと部屋を出て行った。
開けっぱなしの窓から、開けっぱなしの扉に心地よい風が抜ける。
エリはちょうど風に吹かれたように、床に寝転ぶ。
「あー気持ちぃ…。」
「やっぱ掃除して正解だったね!」
ぺトラが言葉とともにエリを振り返ると、エリは静かに眠りに落ちていた。
「エリ、いつもありがとうね。」
エリの顔を覗き込んで眠っていることを確認したぺトラがつぶやいた。
寝坊助のエリが、休みの日にも関わらずちゃんと朝から起きて掃除を手伝ってくれているのだ。
「私もエリを助けてあげたい。いつか、話してくれる?」
ぺトラはエリが大好きだからこそ、エリが何か大きな影を心の中に持っていることを知っていた。
しかし、エリから話そうとしないなら、ぺトラから触れることは許されない。
「話してもらうには、やっぱり私が強くならなくちゃね…。」
ぺトラは、先日ジェシカと誓った想いを言葉にしてしっかりと確認した。