夕陽、見上げて

□第9話―836年@―
2ページ/6ページ











「――心から一緒に笑える日が来るまで、私は絶対に死にませんっ!」


「…そうか。」




リヴァイとぺトラは、掃除を終えてエリとジェシカが帰ってくるまでの間、話をしていた。


すると、ドアの外で少し大きな物音がした。







「きゃっ!」


「…なんだ?」


「びっくりした…、私ちょっと見てきます。」


「あぁ」







ぺトラが物音の正体を確認するために部屋の外に向かうと、エリが倒れていた。


ぺトラが慌てて駆け寄る。





「――っ!エリっ!!」


ぺトラが読んだ名前に反応し、リヴァイが眉間にしわを寄せる。

急いでリヴァイも部屋の外へ向かうと、エリがうつろな目で倒れている。


リヴァイは、このエリの表情に覚えがあった。










「…おい、医療班を呼んで来い。」


「えっ?」

目に涙を浮かべたぺトラがリヴァイを見上げる。

動揺でリヴァイの言葉を聞きのがしたぺトラに、もう一度口を開く。





「医療班だ。急げ。」


「――っ!ハイっ!!」


状況を飲み込んだぺトラが、勢いよく立ち上がり走り出す。

ゴミ出しを終えて戻ってきたジェシカとすれ違う。



「ジェシカっ!」


「ぺトラ?どうしたの、そんな慌てて。」


「一緒に来てっ!医療班を呼びに行くっ!!」


「医療班?なんで…、ちょっ、ちょっと待ってよぺトラっ!」










医務室へと向かう2人の声を後ろに聞きながら、リヴァイはエリの側にしゃがみ込む。



「…エリ。」


「……っ。」





リヴァイが名前を呼び、頬に手を触れるとわずかながら反応したように見えたが、エリの目は変わらずうつろで、生気を感じさせない。





「お前は今どこにいる…あの時にいるのか。」



エリの呼吸はどんどん浅くなり、ついにその瞳は閉じられた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ