夕陽、見上げて
□第10話―836年A―
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「リヴァイ…」
リヴァイがエリの病室を訪ねると、ハンジがいた。
「……。」
「…あの2人はかなりの動揺で疲れていたから、休ませたよ。」
「何も言ってない。」
「はははっ!ごめん、ごめん。そんな顔してたからさ。」
空元気な会話が終わると、病室には沈黙が漂った。
その沈黙の中で、リヴァイはエリと出会った日のことを思い出していた。
【第10話―回想 836年A―】
「憲兵団?んなとこに何しに行くんだ?」
「少女を引き取りに。」
「は?」
エルヴィンが外出しようとしているのを見かけ、どこに行くのか問うとエルヴィンから予想外の返答が返ってきた。
盛大に顔を歪めるリヴァイを見て、エルヴィンは思わず吹き出した。
「先日、東洋人の家族が殺害されたのを知っているか?」
「あぁ。生き残りを憲兵団で保護してるんだろ?」
そこまで言って、リヴァイはふと気づく。
「まさか、その生き残りをうちで引き取るってのか?」
「そのまさかだよ。」
リヴァイは、再び顔を歪ませる。
「うちにそんな暇はねぇだろ。憲兵にやらせておけ。どうせろくに仕事なんてしてない。」
「手に負えないらしい。」
「あぁ?あいつ等はガキ1人の面倒も見れねぇのか?」
「詳しい話は行ってからの話だから分からないが、……お前も行くか?」
エルヴィンは冗談のつもりで問うたのだが、
「…………いく。」
リヴァイが返したのはまさかの返答だった。