夕陽、見上げて
□第13話
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「エリ。これを指令に届けてきてくれるかい?」
エルヴィンに差し出された1枚の書類。
どうやら、次の壁外調査の際の開門を要請する書類のようだ。
これを駐屯兵団のピクシス指令に提出して初めて壁外調査にいける。
「あのぉ……、お断りしてもいいですか?」
【第13話】
「だいぶ落ち着いたみたいだね。」
「まぁなんとか……。」
3日間目覚めることなく眠り続けたエリは、すぐに訓練に復帰することを許されなかった。
しかし、本人はすこぶる元気なので、早く復帰したいと自分の上司であるエルヴィンに掛け合ったのだ。
エリの押しに負けたエルヴィンは、定期的に専門医からの治療を受けるという条件をのませて、復帰を許したのだった。
そしてエリは今、専門医の診療所を訪ねていた。
「リヴァイさんたちはどう?元気にされてるかな??」
「そりゃもうウザいくらいに。」
「ははっ!そうかい。」
治療といってもそんな大層なものではなく、専門医と数分話す程度だ。
最初は面倒くさいと思ったエリだったが、案外この専門医と話をするのは退屈ではなく、ここに来ることも苦痛ではなかった。
「また来月おいで。」
「はーい。来なかったら壁外調査で死んだと思ってください。」
「こらこら。そんなこと言ってると……。」
「リヴァイに殺される。冗談です、じょーだん。」
にこやかに専門医と別れ、診療所を出たエリ。
直ぐにでも駐屯所に帰りたいところだが、エルヴィンから厄介な用事を任されてしまった。
「んー、やっぱ帰っちゃダメかな?」
エルヴィンから託された書類をペラペラと目の前で翻した。