夕陽、見上げて

□第17話
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落ちるところまで落ちたら、後はあがるだけだ。






そんなことを言う人間が多い。















でも、一度どん底まで落ちた心は、そう易々と浮き上がれるものだろうか。




















人は







どこまで強くなれるのだろう……。















【第17話】
















「班長っ!コレどうしましょう?」


「それは奥の棚に入れてって!」


「班長。これは資料室へ持っていくべきでしょうか。」


「あー、そうだね。分類分けてから持ってってくれる?」


「はんちょー!追加の荷物届きましたよー!」


「うぇ!?もう!えーと、とりあえずそこ置いといて。」











ウォール・マリアが陥落して2週間程。



混乱状態からやや回復した調査兵団は、新しい兵舎への移転作業に追われていた。







マリアとローゼの間にあった今までの兵舎は、壁が破壊されたことによって捨てざるを得なかったのだ。















「班長ーっ!エリ班長!」


「はぁ、今度はなに……。」






また、前回の壁外調査で多くの兵士が殉死したため、兵団の古株や実力者たちはこぞって出世となった。




エリが班長になった他、ナナバがエリと同様班長に、そしてハンジが分隊長に昇進。





噂された団長の解任は、ウォール・ マリア陥落による混乱で一時見送りとなった。















「それは重要書類だ。俺の執務室に運んでおけ。」


「リヴァイ分隊長っ!?了解しました!」





ひょっこりと様子を見に現れたリヴァイは、その後ほんの少し指示を出しただけで場をまとめ上げてしまった。


1時間もかからないうちに、運び込まれた荷物であふれかえっていた部屋はあっという間に綺麗になった。














  
「もう昼を回ってる。お前ら全員昼飯でも取ってこい。」


「「はっ!ありがとうございますっ!!」」














リヴァイが頃合いを見て昼休憩の指示を出したことによって、ようやくエリに平穏が訪れた。
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