夕陽、見上げて
□第18話(後編)―846年―
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「はぁ…ははっ……。情けないなぁ…。」
ジェシカは1人、地面に倒れていた。
襲われていた民間人をかばった時にろっ骨を折り、それでも民間人を守ろうと巨人を討伐しようとしたのだった。
しかし、結果として今目の前にあるのは、そうまでしても守ろうとした民間人の死体だった。
「シェリー…戻って、きたのか…。」
1頭の馬がジェシカの顔に頭を摺り寄せてきた。
その目は心なしか切なげに見えるが、ジェシカを連れて帰ろうとする強い意志を感じさせた。
「はぁ…はぁ…。そうだね。約束…したもんね。」
【第18話(後編)】
「うっ……。」
「ジェシカっ!ジェシカしっかりしてっ!!」
「…エリ?」
「そう!そうだよっ!!」
「ははっ……。帰って、これた……。」
「――っ!そうだよっ!だからっ、だから頑張って!!」
医療班では対応できないほど重症であったジェシカは、すぐに病院へと担ぎ込まれた。
エリが付き添って病院までの道を行っていると、途中でジェシカが意識を取り戻したが、
いつものように強気な姿はそこになく、唇を青くさせて生気がないことにエリは焦りを覚える。
「すみませんっ!こちらでお待ちくださいっ!!」
病院まで来ると、一緒にジェシカを搬送していた看護士がエリを止めて、病室のドアを閉めた。
中では医師たちの声が響き、治療が始まったことがわかる。
「――っ!ジェシカっ……。」
閉められたら扉の前に座り込んで、エリはただただ涙を流すのだった。