夕陽、見上げて
□第19話(前編)
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強くなりたい。
どうやったら強くなれるんだろう…。
強いって…、なんだろう。
【第19話】(前編)
「エリ…。」
「ぺトラ。おはよう。」
「うん。…おはよう。」
先に起きていたエリと、挨拶を交わしたのは後から起きてきたぺトラ。
エリが誰よりも先に起きているなんて奇跡のようなことだが、ジェシカが死んで以降ずっとこれが続いている。
ジェシカの葬儀が終わり、ウォール・マリア奪還作戦の後処理が落ち着き始めた。
この部屋もエリとぺトラだけになり、よく騒いでいたのがジェシカだったため、随分とさびしくなった。
エリは、日に日にやせ細ってきており、ジェシカを失った悲しみに暮れているのはぺトラも一緒であったが、さすがにエリの事が心配でならなくなってきた。
「ぺトラ!今日は朝に会議が入ってるから、もう行くね。」
「わかった!エリ、ちゃんとご飯食べてね。」
「…わかった。」
(あれは嘘ね。)
返事の前にわずかに間が入ったのを見逃さなかったぺトラは、エリが返した返事を信じなかった。