夕陽、見上げて

□第19.5話
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これは、とある日のエリ班長のご様子である。










「エリ!エリー起きてっ!!」


「んー、おきてるよぉ。」


「それは起きてるって言わないの。」





しばらく続いていたエリの早起きも、先日の一件以降、元に戻ってしまった。



しかし、起きなければという意識はエリに芽生えたようで、一応ベッドから身体を起こしてはいる。





寝ぼけすぎていて起きているとは言えないが……。







「ほら、グズグズしてると怒られるよっ!」


「はーい……。」


「だから寝ないのっ!」





よい返事をしながらも、再びベッドに沈み込みそうになったエリを、ペトラがあわてて起こした。















【第19.5話】















「では、今日も打ち合わせの通りに頼むよ。」


「了解ですっ!」


「は〜い。」





朝は毎日直属の上司であるエルヴィンから指示を受ける。



そしてその指示を班員に伝えるのが、班長の役目だ。







「エリ。ちょっといいかい?」


「はい。」





少し早めにミーティングが終わると、エルヴィンは必ずエリを呼び止め、近況をチェックするのだ。







「最近はどうだい?班員達とは大分うまくやってるようだけが。」


「うまくって言うのかな?よくわからんけど、前より悩み事は減ったかな?」




班長になりたての頃、エリは右も左も分からず、そのたびにエルヴィンに助けを求めていた。







「あ、そういえば……。」


「ん?どうした?」


「最近、リヴァイが変。」


「リヴァイ?」


「普通にしゃべってたと思ったらいきなり物凄い勢いで目反らしたり、なんやかんや変。」


「……風邪でも引いてるんだろう。」










あーそっか!と言って出て行ったエリの背中を見届けながら、エルヴィンは笑いをこらえるのに必死だった。




しかし同時に、リヴァイが不憫でならなかった。







「話でも聞いてやるか。」





誰よりもプライドの高いリヴァイは、誰にも話をできずに1人で悶々としているのだろうと思い、エルヴィンは近々話を聞き出すことにした。
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