夕陽、見上げて

□第19.5話
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「またか。」





エルヴィンとのミーティングが終われば、班でミーティングを行う。




しかし、ミーティングを始めようとエリが班の部屋の前まで来ると、いつも通り部屋から大きな声が漏れていた。





呆れながら、エリが部屋に入ると、いつもと同じ光景が繰り広げられていた。










「シェリル!お前はいつも班長に馴れ馴れしいぞっ!」


「なによ。そーいうカインこそ、ずぅーとエリ班長の右側キープしてるじゃないっ!」






シェリルと呼ばれたのは若い女性兵士で、エリのことをとても好いているようだ。



そのシェリルにいつも噛みつくのは、カインという男性兵士で、これまたエリを好いている。


……というよりも、エリに好意を持っているようで、悪い虫が寄りつかないようにといつもエリの側から離れなかった。





ちなみに、この凸凹コンビは、エリ班の名物である。





エリが部屋に入ってきて、全員が朝の挨拶をしたことにより、一瞬騒がしさが無くなったが、1分と持たずに2人は再び言い合いを開始した。










「あーうるさい。グンちゃん何とかして。」


「お、俺ですか?」


「"俺"はあの子たちの先輩でしょ?」





同じくエリ班に所属しているのは、グンタ・シュルツ。



2人が揉め始めると、エリは必ずグンタに場を収集させた。





「……はぁ。2人共今はミーティングが始まるぞっ!それ以上騒ぎたいならミーティングの後にしろっ!」


「「でも、グンタにぃさ〜ん!!」」


「ーっ、わかったから!後で聞いてやるからとりあえず今は静かにしてろっ!!」



2人にすがりつかれたグンタが慌てて対応する。



グンタもそれなりに好かれているようで、2人のいいお兄さんだ。











「……ふふっ。」


「楽しい?クリス。」





騒がしさとはかけ離れたところにいるのは、クリスティーナ・ロバーツ。



変人奇人の集まりである調査兵団には珍しすぎる、大人しさに溢れた少女だ。





「………うん。」


「んーかわいいっ!あんたらもっと騒げーっ!」


「ちょっと班長っ!!」





ほんの少し頬を染めてこくりと小さくうなずいたクリスティーナにエリが抱きつき、この可愛らしい少女のためにもっと騒げとけしかける。







慌ててグンタがそれを止めて、ようやくミーティングが始まるのだった。
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