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□甘い甘いメロンパン
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『総司先輩!!』と僕の事を名前で呼んでくれた。
最初は恥ずかしがっていたのに君は最後に笑顔でそう言ってくれた
その笑顔と言葉を聞いた時僕の心臓は少しばかり速かった
最初は面白くてからかっただけのつもりだったのに君が笑顔で僕の名前を呼んだから、これからは僕を名前で呼んで欲しいと思ってしまった。
『先輩…?どうしたんですか?』
『え?あぁ、なんでもないよ』
私が先輩の名前を呼んだ途端、先輩は凄く驚いたような顔をした。
何故か、顔も少し赤い気がする。
気のせいなのかな?でも…総司先輩…ちょっと可愛かったな。
ふっ…と口を緩めてしまった。
『ちょっと、なに笑ってるの?』
『へっ?え…あっなっなんでもない…です?』
『なんで疑問系なの?怪しいなあ正直に言わないとメロンパンあげないよ?』
『えっ!なっなんでですか?!酷いです!!くれるって言ったじゃないですか』
『メロンパンが欲しいなら正直に教えてよ』
むむむ…この状況さっきと同じだああああ!!はぁ…最終的に正直に言わないといけないのだろうけど…流石に総司先輩が可愛かっただなんて言えないよ。
なんとかして誤魔化そう!
『ねぇ、教えてくれないの?』
『あっあ…あっ…あっ!あの…そ総司先輩!私を名前で呼んで下さい!!』
あっぶなかったあ…なんとか誤魔化せたよ。
総司先輩鋭いからな…すぐばれるかな、と思ったけれど総司先輩は私が名前で呼んで下さいと言ってから直ぐに固まったように動かなくなった。
ん…?総司先輩どうしたのかな…私…言っちゃいけないようなこと言っちゃったかな?
『なまえちゃん』
『え…』
総司先輩が私の名前を笑いながら言った。
優しく、初めてみた総司先輩の無邪気な笑顔
私はその笑顔を見た瞬間、心臓が段々速くなるのが分かった。
どうしてこんなにドキドキしてるのかな?
落ち着け…落ち着け私の心臓!
何度心の中で呟いても私の心臓は落ち着くどころか更に速くなる。
『なまえちゃん?ねぇ、なまえちゃんってば!』
総司先輩が私の名前を呼ぶ…段々速くなる私の心臓。
どうしよう…総司先輩の顔見れないよ…
総司先輩が私の方に近づいてくる足音が聞こえる。
その度に私は一歩ずつ下がる。
『なまえちゃん?どうしたの?何かあった?僕、何かしちゃったかな?』
違う…総司先輩は何もしてない。
だけどそう言おうと思っても心臓の音が煩くて、私の頬が熱くて、言おうと思った言葉が言えない。
こうなると私に襲ってくるのは逃げたい、という気持ち。
私が一歩下がる度に総司先輩は一歩ずつ前に出るから近づいてきた教室のドア。
最初は窓際にいたのにもうすぐ反対側のドア。
もうすぐドアまで1m位という所まで来た時、私はとうとう逃げたいと言う気持ちに勝てなくて、その場から逃げてしまった。