ふりー!

□7
3ページ/5ページ


ポスターを貼ってみたりいろんな人に声をかけてみるも収穫はなし。どんより落ち込んでいる私たちのもとに渚がやってくると、半ば強引にグラウンドへと連れ出された。

「こっちこっち!もうね、間違いなく一押しなんだよ!」
『あれって、陸上部じゃない?』
「ほらあそこ」

渚が指差す先にはストレッチをする男の子が一人。青い髪にメガネをかけている。見覚えのない顔だから同じ年ではないだろうけど。

「これって運命だと思うんだ!」
「中学の時水泳部だったとか?」
「すごい記録持ってるとか?」
「名前だよ名前!竜ヶ崎怜ちゃんっていうの、ぼくたちと同じなんだ。男なのに女みたいな名前」

…そこ?と思ったのはどうやら私だけではないようだ。盛り上がる私たちを竜ヶ崎くんは一瞬ちらっと見るも、すぐに棒高跳びの準備を始めた。

「おい、飛ぶみたいだぞ」

そして、竜ヶ崎くんは飛んだ。思わず「すごい」と声が漏れた。まるですべて計算されたかのように綺麗なフォームだ。彼のような人が水泳をやったらそれは綺麗に泳ぐのだろう。

『ちょっと泳いでるとこ見てみたくなっちゃった…』
「うん、あれは飛び込みも上手そうだね」
「はいっ!上腕二頭筋もきれい…!」
「そこぉ!?」




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ