ふりー!
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新しいクラス。予想通り先生に女と間違えられむすっとしたハルがおもしろくてつい笑ってしまった。いち早く「遙は男です!」とフォローを入れた真琴にクラスはぶわっと笑いに包まれた。くすくす肩を揺らしていると後ろから「笑うな」とハルからつっこみがはいった。
『っふふごめんねハル。去年はこのやりとり見れてないから久しぶりで、つい』
「はぁ…」
*
お昼は屋上で食べることになった。真琴はお弁当自分で作ったのかな?やっぱりお兄ちゃんってだけあってしっかりしてるなぁ。一方ハルはお昼持ってないみたい。
「芽生は持ってる?」
『うん、お母さんが作ってくれた!』
「卵焼き入ってるのか?」
『え?たぶん、入ってた気がする。朝余ったの食べたし。…食べる?』
「…ああ」
「っふふ、ハルはほんと芽生のお母さんの卵焼き好きだな」
「…鯖の次にな」
そうだ、小学生の頃遠足でのお昼ごはんの時、私がお腹を壊してごはん全部食べられなくて余った卵焼きをハルにあげたんだ。あれ以来お弁当に卵焼きが入ってるとハルの目線を感じるようになって。食べる?って試しに聞いてみると「ああ」と返事が返ってくる、そんな日常があったっけ。高校生になってクラスが離れてお昼一緒に食べないことが多くなったから忘れてしまっていたけど。
ああ、凛と取り合いになってた時もあったなぁ。
『懐かしいなぁ』
「ん?何か言った?」
『…ううん、なんでもない』
「ハルちゃん!マコちゃん!メイちゃん!」
??今、名前呼ばれた?声がする方を見てみると、そこには、
「久しぶり!僕も岩鳶高校に入ったんだ。」
「マコちゃん?」
「ハルちゃん?」
『そんな風に呼ぶのって、まさか!』
「「「渚!?」」」
懐かしい顔だ。背は伸びたけれど、人懐っこいかわいい雰囲気はまったく変わっていない。まさかここで会うなんて!このままあの時のメンバーが揃いそうな、そんな気がした。