ふりー!

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2.
スイミングクラブに行く前に一旦ハルの家でご飯を食べてから行くことになった。ハルは相変わらずの鯖料理だ。美味しいのはわかるけど、よく飽きないなぁと思う。

「でもさ、本当にいいのかな」

ふいに真琴が言う。その表情は浮かないものだ。そして、彼の考えていることは多分私が考えているものと同じだろう。それは、トロフィーを私たちで掘ってしまっていいのか、ということだ。だって、一人足りない。ハルたちをリレーに誘った張本人、赤い髪の彼が。



*
「俺こっちの中学行かないから」

その言葉は唐突だった。びっくりしすぎて、言っている意味がわからなすぎて、ただただ混乱した。オーストラリアってどこ?遠いの?どれだけ行くの?リレーはどうなるの?もう一緒に遊べないの?いろんな疑問と不安が心の中を渦巻いたけど、結局口に出せた言葉は一つだけだった。

『凛と会えなくなるの…寂しいなぁ…』

凛が困ったように笑うから、それ以上は何も言えなかった。

「別に一生会えなくなるわけじゃないさ、また会える。そのときは、もっといろんな泳ぎ教えてやるよ!」

そしてリレーが終わり、凛はオーストラリアへ旅立った。





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