ふりー!

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4.
鮫柄学園に忍び込んだ翌日、私たちはまた職員室に呼び出され先生からお叱りを受けていた。2年生になって数日で2度もお世話になることになるなんて、予想もしていなかった。

「お前たちは反省する気はあるのか!?」

『すみません…』

そして、そんな私たちを再び助けてくれたのがあまちゃん先生である。その時に先生が引用した中国の軍師の話はやっぱりよくわからなかったけど。


*
「あまちゃん先生、いまいち助けにならなかったね」
「でも、結局金魚はどうなっちゃったんだろう?ハル、知って……あれ?」
『あ、ハルもうあんなとこに』

ハルは今日も早退かぁ。

「あ、江ちゃん!」

そこへやってきたのは江ちゃんである。また渚と呼び名についてもめてるけど、結局決着はつかなかった様子。

「それで、お兄ちゃんとは会えました?」

その質問に対し渚が長々と答えた。渚も凛の変化に対して思うところがあったのだろう。そりゃ、あんなに仲良かった友達が変わってしまっていたのだ、気にならないはずもない。一方真琴は江ちゃんに凛から何か聞いていないかと質問するけど、江ちゃんは首を横に振った。

「凛ちゃん、なんであんなに変わっちゃったんだろう…」
『オーストラリアで何かあったのかなぁ。留学すると雰囲気変わる人って多いって言うし』
「でも、それだと凛ちゃんももっとオープンな感じになってると思うんだけどなぁ」
「…わからないんです。でも皆さんと再会すれば何かわかるんじゃないかって」
「あ、ひょっとして、スイミングクラブに凛が現れたのって江ちゃんのしわざ?」
「えっ!…しわざって言うか…悪気はなかったんですけど…」

どうやら図星のようだ。江ちゃんも江ちゃんなりに凛のことで思うところがあったのだろう。それにしても、私たちならともかくとして、実の妹のメールにも返信しないって本当にどうしちゃったんだろう。

「そうだ、良いこと思いついた!水泳部作ろうよ!」
『へ?どうしたの渚いきなり』
「そしたらさ、試合で凛ちゃんに会えると思わない?」
「いや、でもハルがなんて言うか…」

ハルのことだ、めんどくさいって言いそうだけど。でももし本当に水泳部ができたら、また凛がハルたちと一緒に泳ぐところを見られるのかもしれない。まぁ、昨日の状態では時間はかかりそうだけど。




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