ふりー!

□4
2ページ/3ページ


「別に、好きにしろよ」

ハルの家にやってくると、ハルはお風呂場で水に浸かっていた。なんだかここ数日の出来事のせいかハルの裸(もちろん水着は着ているが)を直視する抵抗はなくなったようだ。そして私と真琴はハルの思わぬ反応に「ええ?!」と驚いた。


*
「ほんとにいいの?俺たちだけじゃなくて、ハルも部員になるんだよ?」
「わかってる」

ゴシゴシと体を拭くハルは素直に頷いた。一方ハルから顔をそむけぷるぷると震える江ちゃんが私は今気になって仕方がない。

『江ちゃん?』
「…なんて素敵な上腕三頭筋…!」

なにやら普段聞きなれない言葉が聞こえた気がするけど、江ちゃんはどうやら自分の世界に入ってしまっているようなのでここはそっとしておこう。渚がハルに江ちゃんのことを紹介し、ようやく現実に帰ってきたようだ。

「松岡…コウ?」

ハルはコウという呼び方で覚えていたようだ。江ちゃんの嬉しそうな顔に思わず口元が緩みそうになった。

「…?これって」

江ちゃんの目線の先にはトロフィーとみんなが映った写真がある。

『昔ハルたちが取ったトロフィーだよ』
「この間、凛にいらないって言われちゃったけどね」
「みんな笑ってる…」
『ハルは笑ってないけどね、クールな顔しちゃって』
「ハルちゃんは心の中で笑ってるんだよ!」
「ふふっその言い方だとなんだか悪い人みたい」


*
『そういえば、ずっと気になってたんだけど凛はこの4年間1回も日本に帰ってきてないの?』
「え?毎年お正月には帰ってましたけど」

なんだ、帰ってきてたんだ。私たちに帰ったら連絡しろなんて別れる時には言わなかったけど、少し寂しい気持ちになった。凛は寂しいって思うことはなかったのだろうか。ちらっとハルに目をやると、珍しく少し動揺した様子だ。それが少し気になったのだが今は聞くべきではないのかもしれない。



帰り道。

「ねぇメイちゃん」
『どうしたの?』
「明日ちょっと早めに学校に行って、申請用紙もらいに行かない?」
『水泳部の?そうだね、行こう!』
「あともう一つお願い!もし水泳部ができたらメイちゃんにマネージャーになってほしいんだ!」

ええ!?とまさかのお願い事に驚いた。渚は真剣そうだし、きっと冗談ではないのだろう。びっくりしたけれど、なんだか嬉しくてすぐに頷いてしまった。泳ぐことは得意ではないけど、水泳のことは大好きでいろいろ勉強してきたからハルたちの助けになれるかもしれない。

「ありがとう!メイちゃんもぼくたちの大事な友達だから、一緒にやってほしいんだ」
『うん、一緒にがんばろう!』




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ