ふりー!

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と、思っていたのだけど、想像していたよりも条件は重かった。使われることなく放置され続けたプールに私たちはいる。条件とはお察しの通り、プールを自分たちで補修し使えるようにするということ。となりにいるハルがゆっくり足を下がらせたから慌てて腕を掴んだ。

『ちょハルっ!逃げるのなし!』
「そうよ。何でもするって言ったわよね?」



*
雑草抜きだけでも日が暮れそうだ。

『ふぅ、この辺ようやく全部抜けた…』
「あ、メイちゃん!その草ここに集めて〜!」

渚に言われ「よいしょ」と抜いた雑草を持ち向かうが、ズルッと足元が滑る音を聞き...

『うぇっ!?』

びたーん、という何とも情けない音を立て私は地面に転がった。自分が転ぶだけでなく、抜いた雑草を辺り一面に撒き散らしたのだからタチが悪い。

「メイちゃん!?」
「榮さん大丈夫!?」
『はい……』

お尻の痛みとダサい転び方をしたことによる精神的な痛みがすごいがここは大丈夫だと言っておこう。真琴が差し伸べてくれた手を掴み起き上がる。

「ほんとに怪我してない?」
『大丈夫だよ』
「頭に草乗ってるぞ」
『うぅ、髪にからまって取れない…』
「待ってろ、今取ってやる」

なんだか恥ずかしくて俯いてしまった。まぁこのメンバー(先生はちがうけど)には昔からいろんな醜態を見られてきてるから今更気にすることでもないのかもしれないけど。一番恥ずかしかったのはやっぱり初めて入ったプールで溺れた時だろう。あの時はてっきり自分もハルみたいに泳げるのだと自信満々だった分落ち込みもすごかった。真琴とハルが急いで助けてくれて、真琴なんか顔真っ青にして心配してくれたけど、私はとにかく恥ずかしくて今みたいに俯いてしまったんだった。


雑草抜きが一段落つき、今度はプールのひび割れの補修をするためにホームセンターに行ったり、そこでハルが水の入った水槽に入りそうになって大変だったり、水泳部部員募集のポスターでハルが絵のセンスを発揮して美術部の人たちに連れて行かれそうになったり、とにかく波乱万丈だった。




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