ふりー!

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6.
今日は水泳部の設立を認められたり、江ちゃんがマネージャーとして入部してくれたり、プールの補修は大変だった(転んだせいでいまだにお尻が痛い)けどとても良い日になった気がする。家で夕食を取りながらお母さんに今日の出来事を嬉々として話していると、お母さんがふと何かを思い出したかのように箸を置いた。

「水泳部で思いだしたけれど、遙くんたちが通ってたスイミングクラブいよいよ取り壊しが決まったらしいわよ」
『えっ…』
「あんたも見学で何度も行ってたでしょ?」
『うん…そっか、もう取り壊されちゃうのかぁ』

なんとなく心にぽっかりと穴が開いてしまった気分だ。今はもう使われていない廃墟だけど、取り壊されてしまえば形も残らない。あそこでの楽しい思い出が消えていってしまうような気持ちになる。

夕食後、部屋でもやもやしながらベッドに寝転がっていると携帯が鳴った。画面を見てみると、そこには…

「もしもし、芽生?」
『真琴?どうしたの?』




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